新着情報

リハビリ通信 No.32 変形性膝関節症の骨・軟骨の問題

2012年07月12日(木) QAリハビリテーション科1新着情報

変形性膝関節症の患者さんの中には、「変形した骨が痛い」「擦り減った軟骨が痛い」と訴える方が多くいらっしゃいます。しかし、実際には、骨は骨折以外ではほとんど痛みが出ませんし、軟骨そのものには感覚神経がないため擦り減っても痛みを感じることは考えにくいです(半月板の血行の多い部分では痛みを感じます)。

骨や軟骨の痛みとして訴えられているものの多くは、軟骨や半月板が傷むことで関節が本来の動きから逸脱して動くことで、関節を包んでいる関節包の内側を覆う滑膜に炎症が起こることなどが原因と考えられます。
現在の医学では、一度擦り減った軟骨や重度の変形を元通りに戻す治療法はありません。骨の変形や軟骨の問題を改善するには、今後、軟骨の再生医療や薬の開発などが期待されますが、現在は一般的に人工膝関節などの手術が行われます。
理学療法では骨以外の軟部組織、つまり筋肉・靭帯・関節包・半月板・脂肪体などの動きの状態を整えて、関節が変形したなりにも綺麗な軌跡で安定して動くことができるようにアプローチすることで、痛みの軽減や動作能力の向上を図っていきます。
膝が痛くなった時と痛みが楽になった時のレントゲンを比べると、骨の形状に変化がないことがほとんどであり、痛みの原因の多くが骨以外の軟部組織にあることが考えられています。

リハビリテーション科  奥山智啓