骨粗鬆症とともに Vol.35 いつのまにか骨折を予防しましょう
2019年11月24日(日) 新着情報1骨粗鬆症
骨粗鬆症や骨粗鬆症による骨折を予防するためにはどんな運動をしたらいいですか?と日常の診察場面で患者さんから聞かれることがよくあります。運動というと毎日ウォーキングや水泳など、時間や運動の種類を決めて行う必要があると思いがちですがそんなことはありません。なかなか運動習慣が身につかない、忙しくて時間ないという方は、毎日自宅で簡単にできる筋トレから始めてみてはいかがでしょうか。 背中の痛みの原因が実は圧迫骨折だったという、いわゆるいつのまにか骨折をおこしている方はめずらしくなく、放置しておくとさらに骨折が連鎖します。そうならないための予防のひとつとして背筋を鍛えることをおすすめします。 背筋運動のやり方1 1. うつ伏せに寝て両足は少し開く。両手を軽く組んで腰におく。 2. 息を吐きながらゆっくり上体をそらせる。 少し胸が浮く程度でも十分効果があります。
背筋運動のやり方2
1. 椅子に腰かけて両手を肘から直角に上に上げる 2. ゆっくり息を吐きながら胸をぐっと張って両腕を高さを変えないで両側に開く 3. 息を吐きながらゆっくり上体をそらせる。
4. 息を止めてそのまま10秒静止。
5. 息を吐きながら5秒そのまま静止。 このような方法で毎日10~20回継続して行うと、背筋が鍛えられ圧迫骨折を予防することができます。毎日少しずつ積み重ねることが大切です。
骨粗鬆症マネージャー 石山 瑞穂
引用、参考文献 骨粗鬆症の最新治療、石橋英明監修、主婦の友社、2016 |
骨粗鬆症とともに Vol.34 敬老の日 日本の高齢化率
2019年09月26日(木) 新着情報1骨粗鬆症
総務省統計局が「敬老の日」に合わせて発表した報告書によると、最新の統計値として日本の高齢者(65歳以上)数は3588万人(2019年9月15日現在)となったそうです。これは総人口比の28.4%にあたり、前年の3556万人、28.1%からさらに増加し、数、総人口比ともに過去最高値を示しました。この数字は世界と比較しても最も高く、2位イタリアの比率23.0%と比較しても5ポイント以上の差をつけています。このような現状から深刻に議論されているのが医療、介護費用増加による社会保障費の増加や、自治体の態勢と言えます。高齢化が進み、高齢者を支える若者世代の人口が年々減少する中で、費用の捻出や削減が課題となっています。 重要な対策のひとつに健康寿命を延ばす取り組みが、国レベルで始まっています。加齢に伴って心身の活動が低下する「フレイル」や認知症の予防対策がすすめられています。整形外科に直接関連する骨折や転倒は、要介護となる原因の第4位であり、私達も現在の人口推移には関心を持ち、対策の一助になっていく必要があると考えます。 骨粗鬆症の治療の継続で骨折を予防し、高齢者がいつまでも健康で自立した豊かな生活が送れるよう、努力していきたいと思っています。 骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂
閲覧資料 https://www.asahi.com>articles 2019年9月16日閲覧 https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20190915-00142780/ 2019年9月16日閲覧 |
骨粗鬆症とともに Vol.33 フレイルを予防するには
2019年08月22日(木) 新着情報1骨粗鬆症
あらゆる側面からフレイルと評価された高齢者は将来的に要介護状態に陥る可能性が予測されます。介護状態を予防するには、フレイルを予防し、進行を抑え、可能な限りフレイルを改善することが大切です。 高齢者のフレイル対策では、運動と外出の継続が重要とされています。実際に運動では、レジスタンス運動(筋肉に一定の負荷をかけるトレーニング、かかと上げ、スクワットなど)、バランス運動(片足立ち、バランスボールを使ってのトレーニングなど)、ウォーキングの3つが効果的だと言われています。これらの運動を組み合わせ、運動習慣を身に着けてもらうことが大切です。これらの運動を長く続けるために自主グループで運動教室を開催したりすることも効果的です。そのような外出する場(通いの場)に出向き、地域の人との交流を持つこと、話をしながらお茶を飲んだりすることも大切です。出かけるために身なりを整えたり、時間管理をしたりすることも認知機能維持には効果的です。運動や外出が苦手な人もまずは通いの場に集まることが大切とされています。 骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂
参考文献 Osteoporosis Japan PLUS 第4巻 第2号 ライフサイエンス出版 2019 |
骨粗鬆症とともに Vol.32 フレイルとは
2019年07月29日(月) 新着情報1骨粗鬆症
皆様はフレイルという言葉をご存知でしょうか。元々欧米で生まれた言葉といわれており、その言葉の意味は、加齢により生理的な予備能が低下するとストレスに対する脆弱性が亢進して生活能力が阻害される、要介護や死亡リスクが高まってしまうなどの状態を指します。日本では虚弱、老衰、脆弱などと訳されています。フレイルは、適切な介入を行えば、要介護状態への移行を防げる中間的な段階と位置づけられており、高齢化が進む中、国レベルで対策が広がってきている現状があります。 フレイルには①筋力の低下により転倒しやすくなるといった身体的な問題(身体的フレイル)、②認知機能障害やうつなど精神的・心理的な問題(認知的フレイル)、③独居や経済的困窮など社会的な問題(社会的フレイル)の3つの概念が含まれています。 フレイル対策の実際として、メタボをはじめとした生活習慣病対策、栄養不良、運動不足などの生活習慣、骨粗鬆症を含む疾患の管理のほかに、認知症予防や高齢者の社会参加が重要であるとされています。具体的にはかかりつけ医を受診する、市町村の集会、サロンなどへの参加、検診を受診する、地域住民とのつながりをもつ、社会資源の活用などがあげられます。 高齢化が進む昨今、医療費、介護費は増大する一方であり、支える側の資源にも限りがあるため、フレイル対策が重要であるとされています。地域の方々と連携し、私達も予防に向けての参加や働きかけで、少しでも貢献していきたいと思います。 骨粗鬆症マネージャー 石山 瑞穂
参考文献 Osteoporosis Japan PLUS 第4巻 第2号 ライフサイエンス出版 2019 |
骨粗鬆症とともに Vol.31 お家でも簡単にできる骨折予防体操
2019年06月26日(水) 新着情報1骨粗鬆症
骨粗鬆症の予防のひとつは運動療法ですが、運動というと、しっかり身体を使う運動を想像しがちで、高齢になると運動なんて無理と思っている人も多いかもしれません。高齢になり骨粗鬆症の状態になると転倒することで容易に骨折を起こしてしまう危険性が高くなります。 そこでお家でも簡単にできる、筋肉を鍛えて骨を丈夫にして骨折を予防する運動をご紹介します。 かかとをゆっくりと上げて、ゆっくりと下す、これを繰り返して行うだけです。この運動でふくらはぎ(下腿三頭筋)の筋力のアップを図ります。ふくらはぎの筋力を強くすることで、歩く時の蹴りだしの力が強くなる、転びそうになったときの踏ん張る力が強くなるなどの効果があります。歩行がスムーズになり、転倒予防が期待できます。 ポイントは上下運動をゆっくりと行うことです。できるだけゆっくり行うことで、ふくらはぎへの運動負荷も高まります。立位が不安定な方は、何かにつかまりながらしていただくことをお勧めします。 簡単な運動を習慣づけて毎日行うこと。この積み重ねが丈夫な骨と身体をつくり、健康寿命を延ばすことにつながります。ぜひ続けてやってみてもらいたいと思います。 骨粗鬆症マネージャー 石山 瑞穂
参考資料 骨粗鬆症財団発行 カノープス6号 2018年11月発行 |