骨粗鬆症

骨粗鬆症とともに Vol.50 膝が痛い時は運動していいの?

2021年03月25日(木) 新着情報1骨粗鬆症

中高年の膝の痛みの原因で最も多いのが変形性膝関節症ですが、膝の痛みがある時には運動はしない方がいいのでしょうか?

膝の痛みがある場合でも、生活に支障がない程度であれば運動をしても大丈夫です。また、運動をしている時に多少痛みが強くなっても、運動が終わって30分程度で治まる範囲であれば、翌日も続けてもいいです。ただし、運動後の痛みが翌日まで持ち越す場合は要注意で、このような場合は3日から1週間くらい運動を休んで、日常生活の動きに支障がない程度に治ったら、半分くらいの運動量から徐々に元の運動量に戻すようにしましょう。

骨粗鬆症の予防には適度な運動が大切です。変形性膝関節症では、筋力を鍛えることで症状が軽減することが知られていますので、筋トレも行い、運動を無理せず続けることを目標にしましょう。

しかし強い痛みが続く場合は、関節の中や筋肉に炎症を起こしているかもしれません。そのような場合は迷わず受診するようにお願いします。

骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂

参考資料 日本骨粗鬆症財団発行カノープス11号 2019年9月発行


骨粗鬆症とともに Vol.49 骨粗鬆症の診断基準

2021年03月04日(木) 新着情報1骨粗鬆症

骨粗鬆症は骨密度が減り、骨質が劣化するために骨の強度が低下し、骨折の危険性が高くなる疾患です。特徴的な症状として、腰や背中の痛みがあげられますが、無症状で経過するケースも多くみられます。診断は腰背部痛などの自覚症状がある人や、検診の要精査者などを対象に、日本骨代謝学会の「原発性骨粗鬆症の診断基準」が用いられています。具体的な内容は以下の通りです。

1脆弱性骨折あり

椎体骨折または大腿骨近位部骨折あり

その他の脆弱性骨折があり、骨密度がYAMの80%未満

 

 

 

 

 

2脆弱性骨折なし

骨密度がYAMの70%以下

骨粗鬆症の推定患者数は1300万人で、急速な高齢化に伴い年々増加しています。症状がなくても、最近身長が縮んだ、腰が曲がってきたなど、気になることがあれば御相談下さい。

 

骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

ナースのためのやさしくわかる整形外科 ナツメ出版企画株式会社 2015

整形外科のキーワード辞典394  メディカ出版 2018


骨粗鬆症とともに Vol.48 ロコモ度テストの臨床判断基準に「ロコモ度3」が追加されました

2021年02月01日(月) 新着情報1骨粗鬆症

皆さんはロコモティブシンドロームという言葉をご存知でしょうか?ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)とは、加齢に伴う運動器の障害、すなわち運動機能の低下や運動器疾患により、歩行や立ち座りなどの移動機能が低下した状態と定義されています。日本では高齢化が進み、2007(平成19)年には超高齢化社会となっており、今後介護に関わる財政コスト、マンパワーや施設が不足する懸念が大きくなってきています。

このような現状を解決する対策として、自立した高齢者を増やすこと、要介護状態に移行する高齢者を減らすことが重要であるとされています。転倒、骨折、関節疾患などの運動器障害が要介護者の4分の1に達している現状から、運動器疾患を予防改善することが大切であり、そのためにはロコモの状態になっていないかを評価するする必要があると言えます。

ロコモのリスクを評価したりロコモを判定する方法として、日本整形外科学会はロコモーションチェックとロコモ度テストを推奨しています。このロコモ度テストの判断基準にロコモ度3が追加されました。ロコモ度3は、「移動機能の低下のため、社会参加が制限されている状態」で、何らか運動器疾患の治療が必要になっている可能性があり、整形外科専門医の受診を推奨する段階」と定義されています。

 

骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

OPJリエゾン 2020 第4号 ライフサイエンス出版株式会社

運動器リハビリテーションシラバス改訂第4版 南江堂


骨粗鬆症とともに Vol.47 歩行介助のコツ

2020年12月24日(木) 新着情報1骨粗鬆症

骨粗鬆症患者の場合骨が脆くなっているため、軽微な転倒でも骨折してしまう可能性が高いため、転倒には十分に注意が必要です。歩行が不安定な方には、見守りや歩行介助で骨折を予防することが重要です。

転倒を効果的に予防する介助のポイントとして、1つ目は被介助者の足元をよく見ることです。足が正しく地面に接地できていないときに転倒が起こりやすいためです。さらにもう少し視野を広げて足元周囲を観察し、障害物や滑りやすい環境はないか注意を払います。2つ目は被介助者に身体を近づけておくことです。態勢を崩して転倒しそうになったときに、とっさに支えられるようにするためです。その際身体の重心である骨盤付近をしっかりと支えるようにします。3つ目に介助する者は、足をしっかりと広げておくことです。バランスを崩した身体を安定して支えるため自分の支持基底面を広げておくことが重要です。

コロナウィルス感染症流行で自粛生活が続き、外出や運動機会が減少したことによる筋力低下や、寒さによる厚着など、転倒しやすい因子が重なるこの季節、皆様には十分に気をつけて参考にしていただきたいと思います。

 

骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

整形外科看護vol25 no7 メディカ出版 2020


骨粗鬆症とともに Vol.46 骨の強さは何で評価するの?

2020年11月19日(木) 新着情報1骨粗鬆症

骨折を予防するために丈夫な骨の状態を維持できるよう、食事や運動に気をつけている方は多いと思います。病院では骨粗鬆症の診断のために、骨密度検査をすることがありますが、骨の丈夫さ=骨密度が高いではありません。骨粗鬆症とは、骨密度の低下と骨質の劣化のため、骨強度が低下して骨折しやすくなる疾患と定義されています。このように骨の強さ(骨強度)は骨密度70%、骨質30%の要因で決められています。

骨密度は骨の中のカルシウムの含有量を示す測定値で、よく病院や検診などで測られているものです。骨質は骨の微細構造や骨代謝の状態、微小骨折の有無、石灰化の状態などで決まりますが、骨質を評価する方法はないため骨粗鬆症の検査に骨密度を測っています。

骨密度は正常範囲なのに骨折を起こしてしまったという、骨密度に依存しない骨折のリスクの上昇は、骨質の劣化が一因である可能性があります。

現在骨質そのものは臨床的に定量化できないため、今後の研究が待たれているところです。

 

骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂

参考文献

石橋英明 骨粗鬆症の最新治療 2016 主婦の友社

Osteoporosis japan PLUS 第4巻 第4号 2019