骨粗鬆症とともに Vol.55 サプリメントと薬の違い
2022年02月23日(水) 新着情報1骨粗鬆症
日常の診察で患者さんが先生に、広告の切り抜きやテレビでみた宣伝のことを話し、サプリメントはのんだほうがいいのか質問される場面をよく目にします。サプリメントに明確な定義は無いようですが、一般的にはいわゆる健康食品のうち、特定の成分が濃縮された錠剤やカプセル状、顆粒などのものをサプリメントと呼ぶことが多いようです。つまりサプリメントは、形態は医薬品と同じですが中身は食品と同じと言え、医療機関で有効性を判断するものではありません。 サプリメントに関してはさまざま使用体験談が紹介され、健康増進や病気の予防に効果があるような宣伝が行われています。しかしこの情報は薬のような厳密な臨床試験よって効果が確認されたものではなく、内容が不正確なことや、誇張されている可能性もあります。そのため過剰摂取による副作用を引き起こす可能性もあり、注意が必要です。骨粗鬆症患者の場合、治療薬のビタミンD製剤を服用中にカルシウムサプリメントを大量に摂取すると、腸管からのカルシウム吸収が亢進し、高カルシウム血症を起こすことがあります。その他にも、薬と同時に摂取することで起こる様々な相互作用があり注意が必要なことも多いです。 このようなことから、必要な栄養素はまず普段の食べ物から意識的に摂取していただくことをお勧めします。サプリメントを使用するときや使用しているときは、診察時に医師に相談していただくことが大切です。 骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂 参考文献 OPJリエゾン第8号 ライフサイエンス出版株式会社 2021 |
骨粗鬆症とともに Vol.54 転倒を予防するためのトレーニング
2022年02月06日(日) 新着情報1骨粗鬆症
骨粗鬆症は骨が脆い状態であるため、転倒すると骨折してしまうことも多いです。超高齢社会である我が国においては、骨折、転倒は要支援・要介護の主な原因のひとつであることから、予防対策が重要になると言えます。 日常生活で、簡単に継続できる転倒を予防するトレーニングのひとつが、バランストレーニング+大腿四頭筋トレーニングとされています。具体的に、バランストレーニングは片足でバランスをとって起立を保持します。両足交互に数十秒保持します。転倒の危険がある場合は何かにつかまりながら行います。大腿四頭筋トレーニングは椅子に座った状態で膝を伸ばし、脚を浮かせた状態で数十秒保持します。このトレーニングを組み合わせて毎日継続することで転倒の発生率が44%低下したというデータがあります。 トレーニングは毎日継続することで効果も出やすいです。幅広い方が継続しやすい簡単ですぐに実行できる内容ですので是非取り入れていただきたいと思います。 骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂 参考文献 OPJリエゾン 第8号 冬 2021 ライフサイエンス社 |
骨粗鬆症とともに Vol.53 高齢者に多い骨折のひとつ、橈骨遠位端骨折
2022年01月16日(日) 新着情報1骨粗鬆症
前腕には橈骨と尺骨の2本の骨がありますが、親指側にある橈骨の手首に近いところで起こる骨折のことを橈骨遠位端骨折といいます。転んで手のひらを地面につくことで発生しやすく、骨粗鬆症のある女性に多いですが、若い人でも高所からの転落や自転車での転倒などで受傷することがあります。 症状は手首に強い痛みがあり、短時間のうちに腫れてきます。症例によって違いはありますが、手のひらをついて転んだあとでは、食器のフォークを伏せて置いたような変形がみられることがあります。(フォーク状変形)手がブラブラで力が入らず、反対側の手で支えなければならなくなります。時には折れた骨や腫れによって神経が圧迫され指がしびれることもあります。 治療は転位が少なく、良い形を維持できるようであれば、ギプスやシーネ固定などの保存治療が行われます。骨折部のずれが大きい場合や開放性、粉砕が著しい場合は手術治療が選択されます。 骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂 参考文献 整形外科看護 第26巻12号 2021 |
骨粗鬆症とともに Vol.52 すり足歩行
2021年06月06日(日) 新着情報1骨粗鬆症
転倒の原因になりやすいすり足歩行は、おもに加齢による筋力低下などが原因であると言われています。すり足歩行は足の蹴りだしが弱くつま先が十分に上がっていない状態で、このような状態では段差のない平地でもつまずいてしまうことが多く危険です。 安定した歩行動作は、股関節や骨盤など歩行に必要な機能が正常に連動して成立しますが、足の運びに関しては、あおり運動を意識することで、転倒予防につながると言われています。 あおり運動とは、足はかかとから接地させ、足の外側に力がかかった後に母趾の付け根で蹴りだす歩き方です。この運動は日常的に私達が歩行する際に行っている運動ですが、特に高齢者などでは足の蹴りだしが弱くなっていることが多く、この動作を意識することで転倒予防につなげていただきたいと思います。
骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂
参考文献 OPJリエゾン 2021年春号 ライフサイエンス社 |
骨粗鬆症とともに Vol.51 慢性腎臓病(CKD)に注意
2021年05月02日(日) 新着情報1骨粗鬆症
慢性腎臓病とは何らかの腎臓の障害が3ヶ月以上持続している状態を指します。慢性腎臓病の原因の多くは高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、肥満などの生活習慣病とされています。 慢性腎臓病の状態では骨質の劣化を招き、骨粗鬆症が進行してしまうため注意が必要です。逆に整形ではよく処方される痛み止めで、急激に腎機能を悪化させてしまう可能性があり注意が必要です。骨粗鬆症治療薬やその他の薬でも、腎臓に負担をかける可能性があり、こちらも合わせて注意が必要です。 当院では定期的に検査で状態を把握し、腎機能にも十分配慮して治療がなされていますが、ご自身の腎臓の状態や薬について心配なことがあれば、いつでもご相談下さい。
骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂
参考資料 骨粗鬆症財団発行 カノープスvol9 |