
リハビリ通信 No.40 関節の腫れと痛み
2012年09月29日(土) QAリハビリテーション科1新着情報
外傷や過度な運動などで運動器の組織が損傷すると、炎症反応が起こり、腫脹(腫れ)を生じます。 腫れは関節の内圧を上昇し、痛みを感じやすい状態にしてしまいます。つまり、腫れていると皮下の組織はゆとりがなくなり、関節運動をするときに圧の変動が大きくなるため痛みが生じやすくなります。さらに、腫れは筋の働きを抑制したり、関節の周りにある軟部組織の伸張性を低下させたりすることが報告されています。 腫れが長く溜まったままの状態は痛みを感知しやすくなるだけでなく、関節可動域の制限や筋力の低下を引き起こす原因の一つとなってしまいます。そのため、運動療法を行う前に腫れを十分に管理することが必要となります。 腫れを軽減するためには、炎症が起きた直後はRICE処置(リハビリ通信No.38参照)が重要です。しかし、ある程度炎症が落ち着いてきても腫れが残存している場合は、軽い筋の収縮運動によって循環状態を改善することが効果的です。 身体の窪みのある部位や心臓から遠い部位などの腫れが溜まりやすい部位は、ガーゼやパットをあてがい弾力包帯などで軽く圧迫しながら、心臓より高く挙上した状態で筋の収縮運動を行うとさらに腫れが軽減しやすくなります。 リハビリテーション科 奥山智啓
|

アキレス腱断裂
2012年09月27日(木) QAスポーツ整形1QA整形外科1新着情報
アキレス腱断裂はスポーツ中に発生することが多く、30から50歳代の方によく起こります。バレーボール、バドミントン、テニスなどのスポーツ中に起こることが多く、踏み込みやジャンプなどの動作で起こることが多いです。受傷時には、後ろから誰かに蹴られた、あるいは何かが当たったような感覚がする場合が多いようです。受傷後にはアキレス腱部の腫脹、疼痛、陥凹などが認められますが、受傷後でも歩行が可能な場合が多くアキレス腱断裂の存在がわかりにくい場合もあります。ただ歩行は可能でも、つま先立ちは不可能になります。 治療はギプスと装具などを用いる保存治療(手術をしない治療)と手術治療のどちらかが選択されます。手術治療でも、術後にはギプスや装具を用いる場合が多いです。以前は手術治療が選択される場合が多かったですが、最近は保存治療を選択される場合も増加しているようです。どちらの治療法を選択しても、合併症として治療中に再断裂を起こす危険性はあります。他の合併症として手術治療では稀に手術創感染などが問題になることもあります。それぞれの利点、欠点を踏まえて、年齢、活動性などを考慮し治療法を選択します。 最近の文献によりますとアキレス腱断裂の保存治療と手術治療の比較ではふくらはぎの筋力と下腿周径の回復で手術治療の方が少し上回ったものの臨床的に大差はなかったので、ほとんどの方には保存治療が勧められるが一部の条件の方には手術治療が勧められるということです。この報告では保存治療群では再断裂は6.6%に、手術治療群では再断裂は3%、感染は1.5%に起こっています。
参考文献 Bergkvist D, Astrom I, Josefsson P-O, Dahlberg L E. Acute Achilles tendon rupture. A questionnaire follow-up of 487 patients. J Bone Joint Surg Am.2012 Jul;94:1229-33. |

リハビリ通信 No.39 肩関節の運動軸 (3軸) について
2012年09月22日(土) QAリハビリテーション科1新着情報
肩関節は自由度が高い関節です。 上肢はどの方向にも動くのですが、運動の方向を3つの軸に集約することが出来ます。 1つ目の軸は、基本軸を横にした時の屈曲・伸展(前後方向の動き)。2つ目は基本軸を前後方向に設定した時の外転・内転(外と内側の方向の動き)。3つ目は軸を上下の縦方向に設定した時の内旋・外旋(上腕を固定し前腕を内外にまわす動き)です。 日常生活の中で、物をとる・エプロンを結ぶ・顔を洗うといった動作を考えた場合、1つの動作の中に屈曲・伸展・外旋・内旋・外転・内転を伴った複合的な動きを含んでいます。肩関節疾患は軟部組織が問題になる場合、軟部組織の炎症・癒着・短縮・断裂を要因として疼痛と同時に動きの制限が見られます。 理学療法が各々の複合的な動きを引き出すことにより、日常生活で使える動きへと改善していくことが治療へと結びついて行きます。 リハビリテーション室長 見田忠幸
|

NHKためしてガッテン 増刊健康プレミアムVol.04
2012年09月15日(土) 新着情報
NHKためしてガッテン 増刊健康プレミアムVol.04を読みました。甲状腺の疾患、片頭痛、むずむず脚症候群、目の不快感、かゆみ、長引くセキなどのつらい「体調不良」解消術を特集しています。 いつものことながら、色々と参考になる興味ある話が多いですね。 まぶたを閉じるときに黒目を守るために眼球がクルッと上を向き「ベル現象」というそうですが、白目をむいた表情の写真は少しコワいですね(-_-;)
|

リハビリ通信 No.38 運動器の急性の痛みとRICE処置
2012年09月09日(日) QAスポーツ整形1QAリハビリテーション科1新着情報
痛みには「急性の痛み」と「慢性の痛み」があります。急性の痛みは、外傷や手術侵襲、運動での使い過ぎによる強い負荷などにより炎症が生じて起こるもので、腫脹や熱感を伴います。 外傷などを受けたときは、患部の出血や腫脹、急性の痛みを防ぐことを目的にRICE処置を行うことが基本となります。RICEとは、Rest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の四つの処置の頭文字を並べたものです。つまり、捻挫や肉離れなどの怪我をした際は、患肢や患部を安静にし、氷などで冷却し、弾性包帯やテーピングで圧迫し、患肢を挙上することが、急性の症状を最小限に抑え回復を早めるために重要となります。 リハビリテーション科 奥山智啓 |
