骨粗鬆症

骨粗鬆症とともに Vol.30 血液検査で骨粗鬆症ってわかるの?

2019年05月30日(木) 新着情報1骨粗鬆症

日常の診療場面で骨粗鬆症の診断が出た場合、血液検査で骨代謝マーカー検査を行うことがあります。人間の身体の中で骨も常に新陳代謝を繰り返していて、古くなった骨は壊して溶かされ(骨吸収)、新しい骨を造る(骨形成)が行われています。本来骨吸収と骨形成はバランスのとれた状態を維持していますが、このバランスが崩れた場合に骨粗鬆の状態が起こります。

採血ではこの骨吸収と骨形成の過程で産生される物質や分泌物を測定します。

しかし採血で骨粗鬆症の診断は行いません。採血の目的は①病態に合った適切な治療薬の選択、②治療効果の評価、大きくこの2つです。

骨吸収マーカーが亢進していれば骨吸収抑制薬が有効だと考えられるというわけです。

このようにより有効な治療を続けていただくために、当院でも骨代謝マーカーの測定を必要に応じて行っています。

骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

オステオポローシスジャパン.プラス ライフサイエンス出版 2019年3月発行 第4巻 第1号


骨粗鬆症とともに Vol.29 カルシウム摂取量自己チェック

2019年04月23日(火) 新着情報1骨粗鬆症

骨粗鬆症を防ぐ食事で大切なことはバランスのとれた食事を規則正しく摂取することです。1日3回多くの食品をまんべんなく取り入れた食事を心がけることが大切です。骨の主成分はカルシウムとたんぱく質ですが、日本人は男女ともにどの年代でもカルシウムが不足しがちと言われています。骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版では1日あたり700~800mgのカルシウム摂取が推奨されていますが、成人では平均約650mg程度の摂取量と言われており、不足している現状があるようです。
皆さんは毎日の食事で十分なカルシウムが摂取できているでしょうか。上記の簡単なセルフチェック表で評価してみて下さい。

自身の点数が20点以上で良い判定であり、1日に必要なカルシウム量以上食事から摂取できていると言えます。16~19点では少し足りない、11~15点で足りない、8~10点でかなり足りない、0~7点で全く足りないという判定になります。また自身の点数を40倍すると、1日のカルシウム摂取量になるそうです。
骨の健康を守るため、毎日の食事でカルシウムが十分摂れているか是非チェックしてみてほしいと思います。

骨粗鬆症マネージャー 石山 瑞穂

参考文献
骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン2015年版、骨粗鬆症治療の予防と治療ガイドライン作成委員会編集、ライフサイエンス社 2015

2019年3月2日開催 OLS講演会
骨粗鬆症の予防と治療のための栄養・食事その理論と実践
女子栄養大学 栄養生理学研究室教授 上西一弘先生の講義内容より


骨粗鬆症とともに Vol.28 バランスのとれた食事「さあにぎやかにいただく」

2019年04月05日(金) 新着情報1骨粗鬆症

骨粗鬆症の治療で重要な食事について、日常の診療の場面で患者様から、どのようなことに気をつけたらいいですか?と聞かれることがよくあります。その際は患者様に1日3回、多くの食品をバランスよく食べていただくようお伝えしています。では何をもってバランスがよいと考えたらいいのでしょうか?先日参加した研修会でバランスのとれた食事の覚えやすい言葉を教えていただいたので、皆様にも是非参考にしていただければと思います。

 

かな

ぶらを使った料理

ゅうにゅう(乳製品)

さい

いそう

まご

いず(大豆製品)

だもの

 

頭文字の「さあにぎやかいただく」を覚えていただき、これらの10食品群を毎日摂るように心がけるといいそうです。

毎日三度の食事を、治療を意識して支度するのは大変なことです。しかしこれらの食品を摂れるように意識するだけで、理想的な食事に近づけることが出来るかもしれません。

丈夫な骨を維持するために是非心がけてみていただきたいと思います。

 

骨粗鬆マネージャー 石山 瑞穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年3月2日開催 OLS講演会

骨粗鬆症の予防と治療のための栄養・食事その理論と実践

女子栄養大学 栄養生理学研究室教授 上西一弘先生の講義内容より


骨粗鬆症とともに Vol.27 ステロイド性骨粗鬆症

2019年02月25日(月) 新着情報1骨粗鬆症

ステロイドとは副腎からつくられる副腎皮質ホルモンのひとつです。ステロイドホルモン薬には強い抗炎症作用や、免疫抑制作用などがあり、さまざまな疾患の治療に使用されます。しかし、効果が期待され臨床では頼りになる治療薬である反面、副作用も多く注意が必要です。

特に注意すべき副作用のひとつがステロイド性骨粗鬆症です。長期でステロイド治療を受けている患者の30~50%に骨折が起こるとの報告があり、小児から高齢者、女性、男性に関わらず幅広く起こります。

ステロイド性骨粗鬆症の病態には骨形成(新しく骨を造る)の低下と骨吸収(骨が壊れて吸収される)の亢進の両方が関与しています。骨形成の低下は、ステロイドの作用が、骨を造って増やす働きである骨芽細胞や骨細胞の寿命を短縮させます。骨吸収の促進は、腸管カルシウム吸収量の減少と尿中カルシウム排泄増加の結果生じる二次性副甲状腺機能亢進症であるとされています。ステロイド内服後は骨量が減少するとの報告があり、骨折のリスクは上昇するとの報告があります。

ステロイド治療中の患者に重要なことは、骨密度低下と骨折リスク上昇を抑制する一次予防(最初の脆弱性骨折の予防)とその後の二次予防(新たな骨折の予防)であるとされています。原疾患の治療だけに留まり副作用で起こる骨粗鬆症が見逃されている場合も多いと言われています。御心配な方は是非御相談いただきたいと思います。

 

骨粗鬆症マネージャー  石山瑞穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン2015年版、骨粗鬆症治療の予防と治療ガイドライン作成委員会編集、ライフサイエンス社 2015


骨粗鬆症とともに Vol.26 橈骨遠位端骨折

2019年01月31日(木) 新着情報1骨粗鬆症

骨粗鬆症が原因で起こる骨折の中の一つが橈骨遠位端骨折(手首の骨折)です。椎体(背骨)、大腿骨近位部(足の付け根付近)の骨折に次いで多いとされています。

肘から手首までには橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)という2本の骨がありますが、親指側にある橈骨の手首に近い部位での骨折のことを指します。転んで手をついてしまったと訴えて来院される患者様がほとんどで、もう片方の手で支えないと我慢できないような強い痛みを伴います。

この骨折は50歳代後半から増加し、60~70歳代が最も高いとされています。また受傷場所は屋外が多く、活動性の高い、比較的若い高齢者が多いという特徴があるようです。

治療法は日常生活や全身状態、骨折の状態によって判断します。ギプスや装具の固定による保存的治療を行う場合や、手術治療を行う場合もあります。骨折前の可動域を獲得するために、リハビリ治療が必要な場合もあります。

橈骨遠位端骨折は連鎖する脆弱性骨折の最初に起こる骨折であるとされています。骨折の治療と並行して骨粗鬆症治療を開始し、長期に継続してもらうことで骨折の連鎖を防止することが重要であると言われています。健康で自立した生活をより長く送っていただけるよう私達も治療に対する支援をさせていただきたいと思います。

 

骨粗鬆症マネージャー 石山 瑞穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

整形外科の疾患&治療 津村弘監修 メディカ出版 2017

整形外科看護 第22巻12号 メディカ出版 2017