骨粗鬆症

骨粗鬆症とともに Vol.40 自宅内でできる運動~前後歩き~

2020年04月23日(木) 新着情報1骨粗鬆症

新型コロナウィルス流行終息の兆しが見えない中、緊急事態宣言が日本全国へと発令されました。これ以上の感染拡大を防ぐためにも、ひとりひとりの外出自粛が重要であるとされています。そのため今まで行っていた運動の機会が制限されている方も多いと思います。骨粗鬆症予防には適度な運動が大切ですが、自宅での自粛生活が続き運動不足になっている方も多いのではないでしょうか。そのような方に自宅でもできる運動~前後歩き~をご紹介します。

腕を振りながら前へ1~2歩進み、前を向いたまま後ろに1~2歩下がる、この前後の移動を繰り返す運動です。1分間に120拍くらいのテンポ(速足程度)で行います。スクワットなど筋トレを10回2~3セット行ってからするとさらに効果的です。回数の目安は1日1回10分以上で、筋トレとの組み合わせは週3回程度です。肘を90度曲げ、腕をまっすぐ後ろに引くようにしてしっかり振るようにします。腕を振る時は前より後ろを意識し、肩甲骨を動かすことで、上半身の筋肉を動かしエネルギー消費を促します。継続することで脂肪燃焼、筋力強化と骨量アップの効果があります。運動後は水分、たんぱく質の補給を行いましょう。また、物にぶつかったりつまずいたりしないように、周囲の環境整備を行いましょう。

適度な運動を継続することは骨粗鬆症予防に重要ですが、免疫力を上げる意味でも重要です。効果的に行うことで、屋外でのウォーキングと効果はかわらないと言われていますので是非取り入れていただき、時節柄ご自愛いただきたいと思います。

骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

Osteoporosis japan PLUS 第4巻 第2号 ライフサイエンス出版株式会社 2019


骨粗鬆症とともに Vol.39 骨折した家族を介護する方の現状

2020年03月23日(月) 新着情報1骨粗鬆症

高齢化が進む昨今骨粗鬆症による脆弱性骨折は増加を続けています。介護が必要となる原因の22.3%が骨折、転倒または関節疾患であるといわれており、健康寿命を延ばし介護状態を回避することが大きな課題と言えそうですが、実際に介護が必要になった方の家族の現状はどのような実態なのでしょうか。

介護が必要となった原因疾患は1位椎体(背骨)骨折26.6%、2位大腿骨近位部(足の付け根)骨折19.2%でした。介護を原因に転職、離職した人25%、離職したが再就職できた人は20.3%だそうです。介護を担う世代では、1位40~50歳代53.2%、2位60歳代と、働き盛りの世代が大多数を占めるようです。この中で5年以上介護した割合は24%だそうです。実際にどのような介護内容に負担を感じているかでは、外出の付き添いやサポート、トイレの移動、お風呂の介助などがあげられ、介護者の身体的な負担も大きい内容になっています。しかし実際に家族の介護を経験している方によると、身体的負担よりも精神的負担を感じている場合が多いようで、それは離職をして介護している方ほど強く感じているというデータがあるようです。

私達は日々脆弱性骨折などを起こした介護が必要な患者様と接していますが、その患者様を介護する家族の方々にも十分に目を向け、負担を軽減していくことが重要だと感じています。社会資源の調整、メンタルケアや傾聴で負担軽減に努めていきたいと思います。

骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

Osteoporosis japan PLUS 第4巻 第2号 ライフサイエンス出版株式会社 2019


骨粗鬆症とともに Vol.38 糖尿病は骨折のリスク

2020年02月23日(日) 新着情報1骨粗鬆症

生活習慣病として問題視されている疾患のひとつに2型糖尿病があります。2型糖尿病は遺伝的要因が大きいと言われていますが、遺伝だけではなく過食や運動不足、加齢などが発病の要因になるとされています。この2型糖尿病は色々な合併症を引き起こすことが知られていますが、骨折の危険因子となることもわかっており、そのリスクは健常者と比較して約1.38倍であるとされています。

身体が高血糖の状態にさらされると、慢性炎症や酸化ストレスが原因で骨質の劣化が起こり、その結果骨強度が低下し骨折のリスクが上昇するという状態です。血糖コントロールが悪い状態や、罹病期間が長いほど骨折リスクは高くなります。

健康な骨を維持し、骨折のリスクを低下させるためには、生活習慣を見直し、糖尿病を予防することが重要であると言えます。

 

骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

Osteoporosis Japan PLUS ライフサイエンス出版 2019


骨粗鬆症とともに Vol.37 「牛乳は温めて飲んでもいいの?」

2020年01月30日(木) 新着情報1骨粗鬆症

骨粗鬆症を予防するためには、栄養バランスのとれた食事を規則正しく摂取することが大切です。その中でもカルシウムは骨の主成分であり、食事から十分摂取できるよう心がけていきたいものです。

カルシウムというと牛乳はとても吸収率のいい食品ですが、先日患者様から牛乳は温めてのんでもいいのかという質問をいただきました。

カルシウムに関して言うと牛乳は温めても栄養価はほとんど変わりないようです。牛乳が苦手だという方は料理で工夫したり、牛乳を飲むとお腹の調子が変化する方は温めて少しずつ飲むといいかもしれません。

コップ1杯(約200ml)でカルシウム220mgが摂取でき、これは成人の1日摂取量の約1/4量に相当します。日本人は食事から必要量のカルシウムがとれていないと言われており、牛乳に限らずあらゆる食品からできるだけカルシウムが摂取できるように意識していただきたいと思います。

骨粗鬆症マネージャー 石山 瑞穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

石橋英明 骨粗鬆症の最新治療 主婦の友社 2016


骨粗鬆症とともに Vol.36 骨粗鬆症の薬はいつまで続けるの?

2019年12月26日(木) 新着情報1骨粗鬆症

骨粗鬆症の診断をうけ投薬や注射での治療が開始になった患者さんに、「骨粗鬆症の治療はいつまで続けるの?」と聞かれることがよくあります。

骨粗鬆症の治療をいつまで続けるのか、これについての決まった期間はありませんが、骨折のリスクが高い場合は一定期間継続したほうがいいです。骨密度や採血(骨代謝マーカー)の結果をみながら治療の継続を判断します。

骨粗鬆症の患者さんはほとんどの場合で症状がない場合が多く、また高血圧や糖尿病などと違い、お薬での治療効果が見えにくいのが特徴です。そのため治療が本当に必要なのか?と感じる患者さんも多いようです。実際に骨粗鬆症の治療開始後5年以内に52.1%の方が治療から脱落してしまうというデータもあります。

しかし治療の効果は可逆性であり、投与中止により元にもどってしまう可能性がありますので、自己判断で中止しないようお願いしたいと思います。

骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン2015年版、骨粗鬆症治療の予防と治療ガイドライン作成委員会編集、ライフサイエンス社 2015