骨粗鬆症の治療で処方されるお薬の一種であるビタミンK₂製剤には、骨形成の促進、骨吸収抑制、血清オステオカルシン濃度増加作用があり、骨粗鬆症での骨量、疼痛改善に効果があります。ビタミンKには骨形成の調整作用の他に、血液凝固因子の活性化による血液凝固の促進作用があります。
このような作用からお薬の併用で禁忌とされているのがワルファリン製剤です。脳卒中や心筋梗塞、深部静脈血栓症の予防や治療で広く用いられているお薬です。このお薬は血液凝固因子の肝臓での産生を阻害し、抗凝固作用を示すため、ビタミンKとワルファリンを一緒に摂取すると作用が拮抗し、ワルファリンの効果が減弱してしまうためです。
骨粗鬆症の治療が開始される年代の方では、その他の疾患で治療をされている方も多いため、お薬の飲み合わせには注意が必要なこともあります。安全に確実な治療を提供するためにも、受診の際にはご自身が飲んでいるお薬の内容や作用についての情報をお知らせいただきたいと思います。
骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂
参考文献 整形外科看護 第27巻9号 2022年9月発行 メディカ出版