2022 年 8 月 のアーカイブ

リハビリ通信 No.350 膝関節と靱帯の制動性について

2022年08月04日(木) QAリハビリテーション科1新着情報

膝関節は可動性と安定性の両方が必要とされる関節です。つまり膝関節に靱帯が多い理由は関節の安定性と関節の自由な動きの獲得、そして制動された動きの誘導の為と考えられます。膝関節には前十字靭帯(ACL)、後十字靭帯(PCL)、内側側副靱帯(MCL)、外側側副靭帯(LCL)があります。前十字靭帯は大腿骨に対して脛骨が前方に引き出されるのを制動する作用があります。後十字靭帯は大腿骨に対して脛骨が後方に引き出されるのを制動する作用があります。内側側副靱帯は回旋・外反の制動作用、外側側副靭帯は回旋・内反制動作用があります。日常生活上の動作では荷重関節であるため安定性と同時にある程度の自由な動きが求められると考えられます。

膝関節は静的安定化作用である靱帯・関節包・骨と動的安定化作用である筋・腱などがバランスよく存在し膝関節の機能向上に関与しています。膝関節の屈曲、伸展においても屈曲は内旋をしながら最大屈曲時に大腿骨と脛骨、軟部組織が挟み込み接触(骨性のロック)することにより、最終屈曲となります。伸展は外旋をしながら最終伸展域に近づき最終伸展時に膝関節後方にある靱帯(ファベラ腓骨靱帯・弓状膝窩靱帯・斜膝窩靱帯・膝窩筋腱)が制動の役割を果たします。膝関節後方靱帯に不安定性が出現した場合、理学療法では動的安定化作用に働く筋機能を向上させます。その他にテーピング、足底板、装具なども考慮して理学療法を進めて行きます。

リハビリテーション室長 見田忠幸