手指におけるスポーツ外傷の中で、比較的発症頻度の高いものとして「突き指」があります。その受傷機転としては、指先にボールが当たったり、人と接触した際に指先で突いてしまうことで受傷します。一般的に「突き指は軽い(軽症)もの」と捉えられがちですが、加わった外力の大きさや方向によっては手指の関節構成体である各軟部組織が損傷されたり、または骨折を合併していることもよくあります。そのため、「置いておけば治る」、「しばらく様子をみよう」と思うのではなく、整形外科を受診することをお勧めします。
当院にも「突き指したけど、そのまま置いておいたら治ると思ってた。けど、いつまで置いてても良くならない。」と言って受診される方がたくさんおられます。このような場合、受傷から長い時間が経過しているために、拘縮や癒着が完成しつつあります。そのため、運動療法を行っても可動域を獲得するために長い時間を要しますし、予後が悪くなってしまいます。たかが「突き指」かもしれませんが、されど「突き指」です。受傷した際は「軽いもの」と考えるのではなく、整形外科を受診しましょう。
リハビリテーション科 小野正博
インフルエンザ予防接種の予約を開始しました。
受付時間内に直接受付窓口でお申し込みいただくか、電話でも受け付けております。当院では13歳以上の方を対象としておりますので、よろしくお願い申し上げます。必ず事前に予約をしていただきますようにお願いいたします。ご予約なしの予防接種実施は承りかねますので、ご了承くださいますようお願い申し上げます。詳細は受付窓口でおたずねくださいますようにお願いいたします。
対象:13歳以上の方
摂取方法:皮下接種
接種費用:4000円(任意接種)
予防接種実施期間:10月15日~1月31日
奈良県総合医療センター外科、中央手術部部長石川博文先生著の「内痔核治療の変遷と英国St. Mark’s 病院」を読みました。
本書に「推薦のことば」を送っておられる、がん研有明病院名誉院長武藤徹一郎先生の言葉によりますと、St. Mark’s Hospitalは多くのColoproctologistにとって憧れと敬愛の象徴と言ってもよいだろう、ということでした。私は不勉強にもColoproctologistという言葉を知りませんでしたが、Coloproctolyは大腸肛門病学で、消化器・総合外科の中でも大腸肛門疾患の外科治療を専門にされる先生方のようです。
世界初の肛門専門病院という英国St. Mark’s 病院は1835年に開設されたそうで、内痔核の外科治療で痔疾患のメッカと呼ばれていたそうです。石川博文先生は1999年から2年間、英国St. Mark’s 病院に留学されたということで、本書は近畿肛門疾患懇談会の会誌”臨床肛門病学”に掲載された原稿をまとめたものであるということです。また、この執筆がきっかけとなり石川博文先生はベルリン医学協会から招待され、ドイツから伝わったLangengeck法とBraatz法の意義や日本とドイツの絆について、ドイツベルリンでご講演されたそうです。
本書を読ませていただきますと、写真が豊富で外科学の歴史教科書の様な趣で、石川博文先生のColoproctolyに対する熱意が伝わってくるようで、さすが実直な石川博文先生が心を込めて丹精に作り上げた本であると思いました。提示された図は合計97枚におよぶそうです。さらに207編という膨大な文献を集めて、全てに目を通されたとのこと、最も古い文献は1664年のものもあるということでした。何事も妥協を許さず道を究められる、石川博文先生らしいことだと思いました。
ちなみに石川博文先生は学生時代に奈良医大ラグビー部で私の2年先輩であり、ポジションは左プロップをしておられました。当時、医学生とは思えない屈強のスクラマーであったことが印象的です。
石川博文先生が外科医を志すきっかけになったという「過去を記憶しえない人々はその過去を再び経験することになる」というGeorge Santayanaの言葉は、胸に刻むべき言葉であると思いました。
アライメントとは骨の配列や関節の位置関係を表し、理想的な安静立位のアライメントとは側方から見た場合、床からの垂直線が上記5つの点を通るといわれています。また、立位姿勢を崩すような重力の影響や姿勢を保持するための筋活動も最小になることで効率の良い立ち方といえます。
リハビリテーション科 堤 豊