宮田重樹先生著の「死ぬまで歩ける下半身の作り方」を読みました。宮田重樹先生は大阪府富田林市の宮田医院院長で、大阪府八尾市に介護予防に特化したデイサービスセンター健寿も開設され、高齢者でも安心して取り組める運動をとおして、介護されない体、死ぬまで寝たきりにならない体をつくるためのノウハウを多くの人に提供しておられます。また奈良医大整形外科では私の先輩であり、ずっと以前からご指導いただいております。
本書では下半身の衰え始めは50歳過ぎから、ということで寝たきりにならないために、様々なトレーニング、正しい動作などをイラストで数多く紹介しています。これはとてもわかりやすいですね!
「自分は大丈夫」という考えが一番危険、や「楽な生活を極めた先が寝たきり」など一般の方が陥りやすいポイントを捉えて、警鐘を鳴らします。運動強度は回数よりも自覚で決める、ということで筋力トレーニングの場合は自覚的運動強度が「ちょっとがんばっている。ややきついかな。」と自覚できる運動強度と回数がよいということでした。これもわかりやすい目安になりますね。
宮田重樹先生によりますと、体力や運動能力をさらに向上させたい若者の運動と、落ちてしまった体力や運動能力を維持・回復させたい高齢者の運動は全く別のものであるということです。「若者の運動を軽くやればいい」は間違いで、高齢者の体の特徴(可動域が狭くなる。筋力が低下する。持久力が衰える。バランス能力が鈍る。体型・姿勢が悪くなる。)を捉えて高齢者の問題点を改善させる運動プログラムが必要であるということでした。
「親切なお世話が寝たきりにつながる」や「バリアフリー設計の自宅も考えもの」など陥りがちなポイントを見事に指摘しておられると思いました。本書は寝たきりを防ぎたい高齢者とその家族の道しるべとなるべき本であると思いました。