子どもに大人気の絵本作家、ヨシタケシンスケ氏の「あるかしら書店」を読みました。本にまつわる本が売っているという「あるかしら書店」はお客さんの様々な要望に全て答えるという、夢のような書店です。「あるかしら書店」の店長さんはお客さんが「こんな本、あるかしら?」とどんなリクエストをしても、「ありますよ!これなんかどうかしら」と本を出してきてくれます。でも最後のお客さんのリクエストだけは、期待に応えることが困難であったようです。
クスッと笑えることから、「そんなアホな!」とツッコミを入れたくなるようなことまで、想像豊かなネタ満載です。大人が読んでも十分面白いと思いました。
何より、本屋さんの楽しさを思い起こさせてもらいました。最近は本もネットで購入する機会が増えてしまったのですが、また書店に行って新しい本との出会いを楽しんでみたいという気になりました。
長期にわたる臥床や活動性が低下することにより生じる筋力低下の影響で、日常生活動作に支障をきたす状態になった方の運動療法を担当する機会があり、その中でも起き上がり動作がしにくいという方もたくさんおられます。
起き上がり動作は、寝ている姿勢から骨盤が起き上がり、そしてその上に位置する脊柱や胸郭が起き上がることで動作が完成します。
この起き上がり動作が困難な方から「腹筋が弱いから起き上がりにくい。」という話をお聞きするですが、起き上がり動作では上述したような動作の特性があるため、腹筋よりもむしろ「股関節の前面に位置する筋の筋力」が必要であり、この筋肉が作用することにより骨盤が起き上がり、起き上がりが可能となります。
そのため、我々理学療法士は動作の特性を考慮した上、どのような筋を作用させなければならないのか、どの筋の筋力を強化しなければならないのかを評価しながら運動療法を行っています。
リハビリテーション科 小野正博
前額矢状軸における前額面上の運動で、身体から離れていく動きを外転といいます。(図1)
肩峰を通る垂直線を基本軸とし、上腕骨を移動軸としてみることで角度を測定し判断します。参考可動域は0°から180°となっております。また、90°以上は前腕を回外させることを原則としています。(掌を上に向ける動き)この外転という動きも鎖骨、肩甲骨、上腕骨がスムーズに動くことで大きな可動性を得ています。(図2)
肩甲骨の固定性のほとんどはまわりの筋肉に依存することとなります。従って、土台となる肩甲骨のまわりの筋肉が低下することで関節可動域が確保されていても、肩が上がらない。肩が痛いという状態が引き起こされます。その場合、低下している筋肉を向上、改善させることで肩関節の機能向上を図ることができます。
リハビリテーション科 堤 豊
元ラグビー日本代表主将廣瀬俊朗氏著の「なんのために勝つのか。ラグビー日本代表を結束させたリーダーシップ論」を読みました。先日、第31回奈良県スポーツ医・科学研究会 奈良トレーニングセミナー2018で講演をして下さった廣瀬俊朗先生です。
本書の内容はご講演でも紹介してくださいましたが、実際に本書を読んでみますと廣瀬俊朗氏の歩んでこられた道のりがより詳細に分かります。吹田ラグビースクール、地元の公立中学、北野高校、高校日本代表チーム、慶応大学、東芝、日本代表チームと所属したチームのほぼ全てで主将を務められたということは、それだけ廣瀬俊朗氏が実力と才能があるうえに、周囲からも認められる存在であったのだと思われます。廣瀬俊朗氏が類い希なキャプテンシーの持ち主であることは間違いないと思いました。それでも先輩である何人かの主将を務められた選手を色々と参考にするなど大変研究熱心で、またチームを強くするためにメンバーのことを考えて微に入り細に入り心を砕いて努力を怠らないところなど、スポーツチームの主将という枠に留まらず、どのような組織においても参考になるリーダーシップのあり方を示しておられると思いました。
廣瀬俊朗氏は「大義、覚悟、ビジョン、ハードワーク この四つがチームづくりの土台となる。」と述べられました。そして「なんのために勝つのか。」の答えは大義を実現するためであると述べられました。ラグビー日本代表では「日本のラグビーファンを幸せにできる喜び」「新しい歴史を築いていく楽しさ」「憧れの存在になること」を大義に掲げていたということです。ワールドカップという大舞台で勝つことで、その大義を成し遂げることができたということです。そしてこれらは2019年ワールドカップ日本大会、さらにその先に続く日本ラグビーの未来をよりよいものへとしていくことにつながっているということです。
この大義の実現のために、自らの悔しさを封印して日本代表チームへの最大の献身を貫いた廣瀬俊朗氏は真のリーダーシップの持ち主であると思いました。