高倉義典先生著の「名医が教える足のお悩み完全解決バイブル 痛み・不調の理由と治し方がよくわかる」を読みました。
高倉義典先生は奈良医大整形外科名誉教授で、日本足の外科学会理事長および会長、国際足の外科学会初代理事長など多数の要職を務められ、日本における「足の外科」の第一人者です。
高倉義典先生は医師向けの著書は多数あるのですが、一般の方向けの書籍を著されるのは今回が初めてだということです。内容を見ますと一般の整形外科医でもあまり知らないような詳しい内容を、とてもわかりやすく解説しておられます。これなら一般の方でも病院で整形外科医から受けるアドバイスを、この本から受け取ることができると思われます。特に「Part 4 人には言えない足のお悩み」では私も日常診療におきまして、患者様からよく質問されることばかりなので驚きました。まさに、かゆいところに手が届く、という感じです。疾患の解説も病態、症状、治療、予防法まで内容が深く、かつわかりやすいですね。
高倉義典先生は私が奈良医大勤務時代はもちろんのこと、足の外科を学び始めてから最もご指導いただき、最もお世話になった恩師です。本当にありがとうございます。
来たる11月16日(水)午後診、11月17日(木)午前診、11月18日(金)午前診、午後診は院長出張のために臨時休診となります。
ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解ご協力を賜りますようによろしくお願い申し上げます。
人体には腱が滑走しやすくしたり、神経や血管を包み込んで守るといった役割を持つ「脂肪組織」があります。(太ることにより増加する脂肪ではありません。)具体的には膝関節前面に位置する大腿四頭筋の一つである中間広筋の深層にある脂肪組織(prefemoral fat pad)やアキレス腱の深層に位置する脂肪体(Kager’s fat pad)などがあります。これらは筋や腱を滑走しやすくするためにある脂肪体であり、本来はいろんな方向に動く柔軟性に富んだ組織です。
しかし外傷後や術後の症例ではこの脂肪体までも拘縮していることをよく経験します。この脂肪体は「組織を滑走しやすくする役割」をもっていますが、同組織が拘縮してしまうと脂肪体の機能に依存している筋や腱の滑走性は悪くなってしまい、結果として可動域制限につながってしまいます。
この脂肪体は深層に位置する組織ではありますが、体表から触診することができます。そのため、当院の理学療法士はこの「脂肪体」の動き・柔軟性にも着目しながら治療を行っています。
リハビリテーション科 小野正博