「認知症 -ともに生きる-」を読みました。
本書は歴史に見る高齢者の健康と治療、認知症とはなにか、認知症の種類と原因となる病気、認知症の治療と介護、認知症の予防、認知症とともに生きる、の項目に分かれており、写真入り、図入りでわかりやすく解説しています。なるほど!これなら認知症のことをよく理解できそうです。
本書は内藤記念くすり博物館が発刊しています。内藤記念くすり博物館は岐阜県各務原市にあり、エーザイの創業者内藤豊次氏が設立されたそうです。現在、「認知症 -ともに生きる-」の企画展を開催しているようですね。
表紙の写真はアルツハイマー病を発見したドイツのアルツハイマーだそうです。立派な風貌の博士ですね。この写真も初めて知りました。
レビー小体型認知症は1976年に小阪憲司、松下正明らが発見したそうです。これも知りませんでした。とても立派な業績ですね。
先日、第5回ラグビードクターフォーラムが大阪で開催されました。ラグビードクターフォーラムはラグビーに興味のある医師、歯科医師が対象の研究会です。関東、関西、九州でそれぞれ主管が持ち回りで年に1回開催されており、今回で5回目になります。昨年のラグビーワールドカップ2015イングランド大会における日本代表チームの活躍を受けて、ラグビーに対する関心が高まっており例年以上に活発な会議になりました。
基調講演は「ワールドカップ2015における日本代表チームのメディカルサポート~外傷の治療~」で演者はエディージャパンチームドクターを務められた、順天堂大学整形外科・スポーツ診療科准教授高澤祐治先生でした。昨年のワールドカップ2015イングランド大会における日本代表チームの活躍は報道でも報じられたように感動的でありましたが、その現場に当事者として立ち会われるという大変貴重な経験をされた高澤祐治先生のお話しは大変興味深いものでした。2012年4月にエディー・ジョーンズ監督率いるジャパンウェイが始まったそうですが、組織作りは少人数からというエディー・ジョーンズ監督の意向もあり総勢12名のスタッフからスタートしたそうです。チームドクター1名とトレーナー2名のメディカルスタッフでストレングス、コンディショニングコーチスタッフとの連携が強くエディー・ジョーンズ監督から求められたそうです。選手・スタッフともに“日本ラグビーの歴史を変える。”という強い気持ちでハードワークを課し、“すべては初戦で決まる。”と南アフリカに勝つために入念な準備の元で挑んだワールドカップであったそうです。その後の結末は周知の通りですが、初戦まであと4週間という間際でも選手たちは怪我人だらけでチームドクターとして高澤祐治先生は大きな不安に悩まされ葛藤があったことを紹介して下さいました。歴史的快挙の背景には、メディカルスタッフにとっても様々な葛藤と挑戦があったそうです。またエディー・ジョーンズ監督は本当に怖かったらしくて、あるスタッフなどは怒られ役でいつも理不尽に怒鳴られていたそうです。練習風景の写真を撮ろうものなら、記念撮影を撮って遊びに来ているわけではない!とたちまち怒鳴られるので、おちおち写真も撮れなかったそうです。メディカルスタッフを初めとして数々の裏方の方々の支えがあって日本代表チームによる歴史的快挙がなされたことは間違いなさそうです。
シンポジウムでは「ワールドカップ2019に備えてメディカル部門の対応~その実際的問題の改善のための具体的提案~」をテーマに「ワールドカップ2015の医務とドーピング・コントロール」を早稲田大学スポーツ科学学術院教授赤間高雄先生が、「ワールドラグビーのMedical minimum Standardからみた日本のメディカルの現状の問題点と改善点」を流通経済大学スポーツ健康科学部教授山田睦雄先生が、「留学時に現地で観戦した2015ワールドラグビーセブンスシリーズならびにワールドカップ2015~ラグビー外傷への応急治療の観点から~」を奈良県立医科大学整形外科助教宗本充先生が、「日本代表ドクターの活動に要求される資質・情報管理とオールジャパンバックアップ連携体制の構築計画について~外傷発生時の対応、診断、治療も含め~」を宮崎大学整形外科助教田島卓也先生がそれぞれ発表されました。
ワールドカップ2019日本大会に向けて大変有意義な会でした。
理学療法士が患者さんに対して行う治療の中に関節可動域訓練(ROM:Range of Motion)があります。関節可動域訓練は動かしにくく、制限のある関節を動かしやすくして、本来の機能を回復させる治療です。
関節を無理矢理に動かして正常な機能を獲得するわけではなく、解剖学的にどの部分が原因(癒着、柔軟性低下、滑走性低下)なのか考えます。例えば骨折をして手術を行った場合、皮膚を切開し骨折部を髄内釘、プレートなどで整復治療をすると関節内は無論のこと皮下組織でも癒着が起きます。関節包内・関節包外(図参照)、両方の要因が関節の制限になります。また、変形性の関節症の場合、骨の変形が主となり関節包内から様々な所へ影響が波及して行きます。
関節可動域の治療では原因を評価し疼痛を抑えつつ(無理矢理に関節を動かすと痛みにより防御しようと力が入り筋肉が勝手に収縮してしまう)関節を改善します。
リハビリテーション室長 見田忠幸