10月29日(木)、30日(金)に第40回日本足の外科学会が開催され、出席しました。
2日目の教育研修講演2では奈良医大整形外科教授田中康仁先生が「人工足関節置換術の現状と将来展望」を講演されました。奈良医大整形外科名誉教授高倉義典先生が開発された本邦における代表的な人工足関節である奈良医大式人工足関節の歴史について紹介してくださいました。再手術に至る大きな原因の一つである距骨圧壊に対して従来脛踵間固定術を施行していたのが、人工距骨の使用により再手術の成績が格段に向上したために人工足関節置換術の適応も広がるであろうということでした。
初日の基調講演では井口医院院長井口傑先生が「日本足の外科学会の40年を振り返って」を講演されました。もともと手の外科を専攻しておられた井口先生が1990年代に参加された国際学会に日本から出席したメンバーの写真を大事に持っておられ、その写真を講演の中で披露してくださいました。その中に当時参加していた私の写真もあり、大変懐かしくもあり感激いたしました。
その他にも多くの興味ある発表があり、大変勉強になりました。
この2日間クリニックを休ませていただき、皆様には大変ご迷惑をおかけしました。
この学会で得た知識を少しでも患者さまに還元できますように、努力いたしたいと存じております。
現在、「2025年問題」が話題になっています。2025年に団塊世代がすべて75歳以上になり、3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になります。従って、入院患者や介護を必要とする高齢者が増加し現在の医療介護サービスでは対応できないとされている問題です。
何が一番の根本的な問題になるかと言うと、根底には医師、看護師、介護士など医療スタッフの人的不足があり、それらの起因により医療スタッフの疲弊による事故、救急医療の崩壊、地域医療の崩壊が考えられます。また日本の医療システム自体にも問題があり、日本は他国に比べ在院日数が長く、かかりつけ医によるフォローシステムなどができていないなど、医療の分業化・連携がなされておらず本来の医療的行為・治療とのミスマッチングが見られます。
「2025年問題」は今後どのような対策を施すのか大きく分けると ①病院機能の分化 ②連携 ③地域包括ケアシステムの構築を推進 ④予防医学にも重点的に手をかけるなど医療、社会の在り方について根底から見直し、そして医療界だけではなく社会基盤の整備も含めシステムの再構築が必要であると考えられます。つまり、医療機関に極力お世話にならない予防医療と本来かかるべき医療機関での効率的で適切な治療、薬剤、期間の改善が重要であると考えられます。
リハビリテーション室長 見田忠幸