7月20日、21日に第27回日本臨床整形外科学会学術集会に参加してきました。我々理学療法士は日々のリハビリ以外に年に数回学術大会に参加し、演題発表を聴講して最新の知識や技術を学んだり日々の治療成果を発表したりしています。発表内容は大きく①症例報告と②研究報告の2つに分けることができます。
①症例報告は症例に対して評価を行って問題点を抽出し解剖学や文献を基に考察して理学療法を行った結果、一定の期間内に良好な成績を獲得できた治療を考察を交えて発表することを言います。例えば靱帯損傷した患者様の治療について、文献で「靭帯の修復期間は○週」との報告があるので靭帯の修復過程を考慮し、治療を工夫した結果、○○週で受傷前の身体機能を獲得することができたと考察を加えながら報告をします。
②研究報告は、研究テーマに沿った疾患を数十例~数百例集めて、検討項目を挙げて統計学的に数値化して比較・検討した発表のことを言います。例えば変形性股関節症の患者様を数十例以上集めて、跛行(異常歩行)が出現する要因は何なのか検討するために、1.股関節内転制限、2.外転筋力、3.脚長差などの検討項目を挙げてそれぞれ統計で数値化して検討していきます。
今回の学会では研究報告の演題が多く勉強になりました。今回得た知識を臨床の場で生かせれるように日々努力していきたいと思います。
リハビリテーション科 服部 司
7月20日~21日に仙台で開催された日本臨床整形外科学会学術集会にて「橈骨遠位端骨折変形治癒例における理学療法経験」という演題を発表してきました。この学会では整形外科医をはじめ、コメディカル(看護師・理学療法士・作業療法士、等)も発表し、職種の枠を越えてディスカッションが行われました。
今回、私が発表した「橈骨遠位端骨折」とは手首の骨折であり、上腕骨近位端骨折・脊柱圧迫骨折・大腿骨頸部骨折とともに「高齢者の4大骨折」と言われる発生頻度の高い骨折です(全骨折の1/6程度の頻度だそうです)。本骨折の合併症の一つとして「変形治癒」があり、骨折部が転位したまま骨癒合することにより変形が完成してしまいます。変形、つまり骨の形が変わると関節の機能としても変化してしまうので、後々可動域制限や運動時痛、関節不安定性が続発してきます。しかし今回、変形治癒を呈した症例に対し、関節操作の方法と運動をする時期を考慮することで、良好な結果が得られたということを発表しました。発表後、私の演題に対して整形外科医の先生が質問をしてくださったので、熱くディスカッションをし、大変貴重な経験をさせていただきました。
橈骨遠位端骨折に対する運動療法に関する報告はまだまだ少ないのが現状です。そのため今後も研究を重ねていき、今より少しでも良い治療ができるように精進していきたいと思います。
リハビリテーション科 小野正博