2014 年 7 月 のアーカイブ

「野球肘のリハビリテーション」

2014年07月18日(金) 院長ブログ

写真

 

30回三重上肢外科研究会の特別講演Ⅱは行岡病院リハビリテーション部理学療法科長山野仁志先生でした。

山野仁志先生は自身が野球選手として怪我に苦しんで断念せざるを得なかった経験をもとに、野球少年に自分と同じ思いをさせたくないという気持ちで現在の職に就き治療にあたっているそうです。また行岡病院整形外科副院長正富隆先生との出会いが、本当に自分の方向性を強固なものとし経験を高めることができたと感謝しておられました。

山野仁志先生は野球肘のリハビリテーションを次のように進めるそうです。

①肘周囲筋柔軟性改善、②肩関節後方の伸張性改善(肩屈曲90度での内旋可動域改善)、③外旋筋力の強化、④投球動作の改善

肘周囲筋柔軟性改善では前腕屈筋、前腕伸筋、上腕三頭筋、上腕二頭筋の順にストレッチの方法を紹介されました。

肩関節後方の伸張性改善では腹臥位で肩甲上腕関節の内旋可動域改善のための肩関節後方ストレッチングを紹介されました。これは野球肘の原因となる肘外反ストレス、伸展ストレスを回避するために重要であるようです。

外旋筋力の強化として側臥位と腹臥位で行う肩関節外旋筋力トレーニングを紹介されました。次に腹臥位で行う肩甲帯筋力トレーニングと、片手支持の腕立て伏せ位で行う肩甲帯筋力トレーニングを紹介されました。投球動作でボールリリース時に肩内旋動作により肩外旋筋にかかる強力な遠心性筋力(ブレーキング作用)が重要で、前鋸筋、僧帽筋下部の筋力が重要であるようです。

投球動作の改善としてまず肘痛が出る動作と出ない動作を自覚し、正しい投球動作に対する誤解を改め、正しい投球動作のイメージを持つことから始め、段階的にスローイング動作を会得していく方法を紹介されました。ポジションごとに必要な投球動作を改善していくことが重要であるようです。

講演では実際に野球経験者をモデルにして投球動作の改善指導が行われました。一歩ずつ段階を踏みながら、選手がわかりにくいときには選手の理解を助ける引き出しもたくさんお持ちのようです。野球のことは全くわからない私でも成る程!と思うところの多いわかりやすい指導でした。

山野仁志先生の野球選手に対する愛情が伺えました。

 

スタッフ募集のお知らせ

2014年07月17日(木) 新着情報

写真

リハビリ通信 No.121 腸腰靱帯について

2014年07月15日(火) QAリハビリテーション科1新着情報

PT写真

先日、ブラジルのサッカー選手であるネイマール選手が「第3腰椎横突起骨折」を受傷しましたが、これが3番目の腰椎ではなく、5番目の横突起だったら腰椎の不安定性が出ていたのかもしれません。その理由は、第5腰椎横突起には腸腰靭帯という腰椎と腸骨とを結び、腰椎の安定性を司る非常に重要な靭帯りま

この靭帯による制動が破綻してしまうと、第5腰椎を止めておくことができなくなり、腰椎すべり症となってしまいます。腰の筋により完全に覆われているため、触診するのは非常に難しい部位ではありますが、我々理学療法士は、この靭帯の状態もしっかり評価しながらアプローチしていきます。

リハビリテーション科 小野正博

第30回三重上肢外科研究会

2014年07月14日(月) 院長ブログ

写真

先日、第30回三重上肢外科研究会が開催され出席しました。

特別講演Ⅰは「野球肘の診断と治療・予防」で講師は行岡病院整形外科副院長正富隆先生でした。

正富隆先生は大阪大学整形外科、大阪厚生年金病院などで勤務してこられ、現在行岡病院手の外科センター長を務められる手の外科、上肢外科のスペシャリストです。正富隆先生は阪神タイガースのチームドクターも勤めておられ、阪神タイガース選手の治療にもあたっておられます。

サッカー人気に少し押され気味とはいえ、野球はまだまだ日本では最も人気のあるスポーツであり注目も集めます。最近のメジャーリーグでの様々な日本選手の活躍も誇らしい限りですね。しかしながら野球の場合は肩や肘に負担がかかりすぎてしまい、傷害を起こしてしまったり競技を断念せざるを得ないケースもあります。今回、野球選手の治療経験豊富な正富隆先生の講演は大変勉強になり、今後の臨床に活かしていきたいと思いました。

野球肘といいますと、投げ過ぎ(オーバーユース)と捉えがちですが、正富隆先生によりますと普段の投球でストレス過剰になっている、すなわちフォームの悪い投げ方であったりコンディション低下などが原因であるということです。確かに同じように投げていても傷害を起こす選手と起こさない選手がいます。また傷害を起こした選手が靭帯再建術などの手術治療を受けた場合でも、他の部位(膝関節など)の治療に比べて長期間要することが多いのは、フォームやコンディション低下などの問題を克服できずに同じ部位を痛めてしまうことが多いからだそうです。

野球肘には内側型、外側型、後方型などありますが、内側型と外側型は肘外反力、後方型は伸展力がかかることにより生じます。肘関節にとって投球動作による外反ストレスは非生理的運動になります。

診察においては圧痛部位を丹念に観察する必要があり、内側型では内上顆障害、内側側副靱帯損傷、回内筋付着部炎などの鑑別が重要です。正富隆先生によりますと離断性骨軟骨炎が単独で生じることはむしろ少なく、靱帯損傷を伴っている場合が多いそうです。

徒手検査で外反ストレステストではMoving valgus stress testMilking testなどが有用ですが、疼痛の誘発と共に脱臼不安感の出現がポイントであるそうです。

肘内側側副靭帯損傷では1974年にメジャーリーガーのトミー・ジョン投手が、フランク・ジョーブ医師による肘内側側副靭帯再建術を受けて見事に復帰してから既に40年が経過しましたが、これまでに100名以上のメジャーリーガーがこの手術を受けているそうです。日本球界でも1983年に村田兆治投手がフランク・ジョーブ医師の手術を受けて復活を果たし、今までに30人以上の日本人選手もアメリカで手術を受けているそうです。正富隆先生は肘内側側副靭帯のIsometric fiberに注目し肘内側側副靭帯再建術における内側上顆の骨孔の位置に工夫を凝らし、良好な治療成績をあげておられるようです。しかしながら正富隆先生は手術治療に至るまでの保存治療の重要性、手術治療の適応を十分に検討することを強調しておられました。

後方型は伸展力による肘の傷害でインピンジメント、肘頭疲労骨折、骨端線閉鎖不全などがあり、肩関節後方タイトネスと肩甲骨の動きが影響するそうです。正富隆先生は肩関節後方ストレッチの重要性を強調しておられました。

正富隆先生は野球肘に対して、休めることを指示しておくだけ、あるいは手術するだけでは不十分であると指摘されます。コンディションやフォームを改善するリハビリテーションを行うことにより、手術回避、早期復帰、再発防止に繋げることが重要です。正富隆先生によりますと野球肘を診るときには肘だけでなく肩、さらに体幹、下半身にも注目することが重要です。

実は、正富隆先生は大阪府立天王寺高校ラグビー部出身で私の2年先輩になります。私が高校1年生の時には、高校日本代表選手であった一井主将とともに正富隆先輩はFWリーダーとしてチームの中心選手として活躍しておられました。偉大な先輩の講演を聴くことができまして、大変感激いたしました。

8月2日(土) 外来診察休診のお知らせ

2014年07月13日(日) クリニックインフォメーション1新着情報

写真

 

来たる82()は、院長出張のために外来診察休診となります。

ご迷惑をおかけ致しますが、ご理解ご協力賜りますようによろしくお願い申し上げます。

 

 

去る8月2日(土)は院長出張でしたが、派遣医師による再診診療のみ行わせて頂きました。誠に申し訳ありませんでしたが、初診診療はお断りさせて頂きました。大変ご迷惑をおかけいたしましたが、ご協力賜りまして誠にありがとうございました。

尚、外来診察休診の告知文面で誤解を招くような表現があり、ご関係の方々にご迷惑をおかけ致しましたことも重ねてお詫び申し上げます。(平成26年8月7日(木)院長記)