昨日はあいにくの天候でしたが、天王寺高校グラウンドにおきまして第十二回天王寺ラグビーカーニバルが開催されました。
天王寺高校ラグビー部は大正11年に創設された旧制中学のラグビー部としては大阪で最も長い歴史のあるチームです。過去には全国大会に19回出場し、優勝2回、準優勝3回の成績を収めています。私が高校2年生の時には、後に日本代表選手となった松永主将のもとで天王寺高校ラグビー部は大阪府予選決勝まで駒を進めましたが敗退し、その後も強豪私学の台頭もあってなかなか全国大会出場は遠い道のりとなっています。天王寺高校ラグビー部が最後に全国大会出場を果たしたのは、もう40年以上前のことかと思います。
大阪府下でも一部の強豪校は多数の部員を抱える一方、多くの高校は部員不足に陥り15人制の大会に出られる学校は減少しています。全体としてラグビー人口は減少しているようで、2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップを控えながら、地域では地盤沈下が進んでいるような印象さえ持ってしまいます。現在では天王寺高校ラグビー部も15人という人数を集めること自体がなかなか困難となってしまい、春季大会では15人ギリギリのところで負傷者が出て、14人で試合したということも聞いてビックリしました。大阪では15人を揃えられなくなる高校が多数あるため、複数の高校による合同チームで全国大会の予選などに参加する学校も多いようです。天王寺高校ラグビー部は辛うじて単独で15人制大会への参加を果たしているという状況です。
天王寺高校ラグビー部は伝統校として、地域のラグビーの火を絶やしてはならないということで、天王寺高校ラグビー部OBが中心となりラグビーを通じて子どもから年配者まで老若男女が集えるイベントとして天王寺ラグビーカーニバルが始まったのだと思います。例年ゴールデンウイークのこの時期に開催されています。
第十二回天王寺ラグビーカーニバルのプログラムによりますと、午前中は小学生のラグビースクールの大会があり、午後は高校練習会、現役高校生親善試合、OB戦OVER35、OB戦UNDER35という順番で行われました。
OB戦OVER35の相手は茨田高校OBで、私は後半の15分間だけ参加させてもらいました。始まってちょっと走るともう息も絶え絶えで、ほとんど走れず我ながら情けない限りです。
最近はいつも、ラグビーはこれが最後かなという気持ちでやっていますが、赤パンツ(60歳以上)の先輩も元気に出場を果たしておられましたのを見せて頂きましたので、私ももう少しチャレンジしてみたい気になりました。
でも、やはりもう無理かもしれません…(-_-;)
直木賞作家、渡辺淳一氏が死去されたそうです。心からご冥福をお祈りいたします。
渡辺淳一氏は「失楽園」など男女の愛を追求した作品でも知られますが、札幌医科大学を卒業され整形外科医として活躍されたのちに作家に軸足を移されたという経歴の持ち主です。渡辺淳一氏の初期の作品には医学を扱ったものが多く、私は高校生の頃に渡辺淳一氏の医学小説をよく読んでいたことを思い出します。
「無影燈」や自伝小説の「白夜」などは、私には特に思い出深い作品です。医学を志そうと思ったことも、渡辺淳一氏の小説の影響を多分に受けたように思います。
私が奈良医大の学生であったときに、奈良医大の学祭に渡辺淳一氏が講演に来て下さったことも懐かしく思い出しました。
私には本当に大きな影響を与えて下さった作家でした。ありがとうございました。
PAD Conference in 名張の講演Ⅱは「プライマリ医における地雷的血管性疾患」で講師は金沢大学医学部臨床教授、厚生連高岡病院整形外科診療部長鳥畠康充先生でした。
間欠性跛行とはしばらく歩くと足の痛み・しびれのために歩けなくなるが、しばらく休むと再び歩行可能な状態になることをいいます。間欠性跛行を起こす疾患としては腰部脊柱管狭窄症とPAD(末梢動脈疾患)が代表的です。鳥畠康充先生によりますと間欠性跛行の疾患別割合では腰部脊柱管狭窄症が75.9%、PADが13.3%、腰部脊柱管狭窄症とPADの合併が10.8%であったということです。このことより鳥畠康充先生は、以前には製薬会社による間欠性跛行がPADによるものであるという文言に待ったをかけ、腰部脊柱管狭窄症による間欠性跛行の頻度の多さと重要性を強調されたそうです。鳥畠康充先生は脊椎外科がご専門ですが、日本脈管学会専門医も取得しておられます。日本の整形外科医で日本脈管学会専門医をとっておられるのはおそらく鳥畠康充先生だけでしょう。このあたりにも鳥畠康充先生の間欠性跛行に対する、深い思い入れを感じました。また鳥畠康充先生によりますと間欠性跛行の患者さんが、まず受診する初診科は整形外科が圧倒的に多いそうです。整形外科でも間欠性跛行の患者さんに対しては血管の問題がないのかを常に意識して、必要に応じて循環器内科や血管外科との連携を密にすることが重要であると思われました。
坂井正孝先生も紹介しておられましたように、PADの臨床重症度分類であるFontaine分類は臨床所見による分類ですが、これには跛行、疼痛などの自覚症状と潰瘍・壊疽という他覚症状が混在しています。鳥畠康充先生は自覚症状と他覚症状が混在する理由を、Fontaine分類は下肢動脈狭窄における側副血行の機能分類であるからと説明し、側副血行を有効に機能させる生理的治療の重要性を述べたものであると解説されました。成る程、この様に理解するとFontaine分類の重要性がよく理解できますね。鳥畠康充先生によりますと、血管性間欠跛行は足の狭心症とも言える状態で、痛みという警告サインを利用した生体防御反応であるということです。
間欠性跛行の症状を呈している場合の腰部脊柱管狭窄症とPADの鑑別診断のポイントですが、腰部脊柱管狭窄症の間欠性跛行では立っているだけで下肢痛が現れることや、前屈位で下肢痛が緩和するという特徴があります。すなわち腰部脊柱管狭窄症では老人車歩行や自転車では楽であることが特徴的です。PADの場合は病歴として虚血性心疾患、脳梗塞、糖尿病の既往、喫煙歴などが重要です。またPADでは疼痛部位が片側の下腿後面であることが多いことも特徴です。
鳥畠康充先生は整形外科医にとって大きな落とし穴となる重篤な血管性疾患であるくも膜下出血(脳血管障害)、大動脈解離などについても解説して下さいました。疑わしい場合には専門医への紹介、造影CT検査などが必要であるということです。この点に関しては、地域によっては医療アクセスの問題も影響しそうですね。