松葉杖は、歩行の安定性の獲得や体重を保持するために使用します。下肢の骨折や靭帯損傷などの様々な疾患に対して松葉杖が用いられます。
使用目的として損傷部位に負担をかけないように免荷すること、支持性の拡大などが挙げられます。
松葉杖の合わせ方として、足の前外側約15cmのところに杖先を置きます。続いて脇の下に松葉杖を入れて、脇と松葉杖の間を約卵一個分(指2~3本)の隙間をあけてグリップを握ります。このグリップの高さは大転子(大腿骨の外側にある骨隆起)に合わせます。
ここで注意することは脇の下で体重を支えないことです。脇の下には、神経が通過しているため脇で支えると、その神経が圧迫され、神経障害が生じる可能性があります。必ず脇をしめて、上腕と体幹で松葉杖を挟み、掌で支えて使用します。
最後に疾患により荷重制限や使用方法が異なります。使い始めは、慣れないので転倒の危険性があるため、松葉杖を使用する際は、医師や理学療法士の指導のもとで使用してください。
リハビリテーション科 服部 司
Sports Japanは日本体育協会が発行している雑誌です。
日本体育協会公認スポーツドクターの資格があり、この雑誌を送って頂いております。
クリニックの本棚にも置かせて頂いております。
今月号には名張バトン&ダンススポーツ少年団の記事も掲載されています。
名張バトン&ダンススポーツ少年団は今年で創立35周年を迎えるそうですね。
橈骨遠位端骨折とは、前腕にある2本の骨(橈骨と尺骨)のうち、親指側にある骨の骨折です。この部位は骨折の好発部位であり、発生率は全骨折の1/6を占めるとされています。
この骨折では、骨折形態によりますが手術をしなければならない場合もあります。(手術をしなくてもよい場合はギプス固定が施行されます。)骨折し、固定期間が終わると手関節や手指に可動域制限が生じているため、リハビリで可動域訓練を行います。
手術をせず、ギプス固定が施行された患者さんにおける「可動域制限」としてよく経験するのが、橈骨の背側を走行する腱(長・短橈側手根伸筋腱、長母指伸筋腱)の滑走性低下です。長・短橈側手根伸筋は手関節を反らすために働く筋肉であり、長母指伸筋は、テーブルに手をついた肢位から親指を起こしてくる時に働く筋肉です。これらの筋肉の延長部にある腱が問題となることが多いように思います。(骨折は橈骨で生じているので、橈骨周辺で制限が生じやすいということは容易に想像できると思います)。制限となるのはこれだけではないですが、患者さんのリハビリをしていく中で、これらが多いように感じます。
私達理学療法士は、これらの腱を運動より滑走させ、可動域制限の改善に努めます。
リハビリテーション科 小野正博