人体には200以上の関節があります。上肢・下肢・体幹、各関節に機能的な特徴があり、その機能を3つに分ける事ができます。
①運動を伝達し可動性を拡げる機能 ②骨連結器としての支持性・安定性を高める機能 ③末梢感覚情報の中枢へのフィードバック機能です。関節として重要な事は正常な可動域を有し運動時の疼痛が無く、支持性・安定性に優れ各関節のアライメントが正常である事があげられます。
理学療法は癒着・短縮・筋力低下などの機能低下を改善し、患者さんの日常生活の向上・充実を目標に進めて行きます。
リハビリテーション室長 見田忠幸
先日、名賀医師会におきまして名賀医師会臨床懇話会が開催され、春日井市民病院内科医長坂洋佑先生の「CKD (慢性腎臓病) 診療のポイント」という講演を聴きました。
昨年にも、の村信介先生のCKDに関する講演をお聴きしましたが、日本では人口の約8人に1人がCKDということで新たな国民病として大変注目されているホットな話題です。今回は「CKD (慢性腎臓病) 診療のポイント」ということで、主に内科医師に向けたお話しですので、私の理解できた部分だけ少し紹介いたします。
CKD診療ガイドラインが2012年に改定されたそうで、その主な変更点は重症度の分類を腎機能のステージ分類であったものを、腎機能に原因と蛋白尿を加えたものに変更されたそうです。蛋白尿をより重視したところが大きなポイントであるということです。CKD患者を腎臓内科専門医に紹介すべきパターンは、まず尿蛋白が多い場合で、これは進行性の可能性があるということです。次に血尿を合併している場合で、腎炎である可能性が高いそうです。最後に尿蛋白は正常であるが腎機能の悪い場合で、年齢別で判断すべきであるそうです。
また合併する高血圧症に対する降圧剤は、蛋白尿の有無や糖尿病の合併の有無で選択が変わってくるそうです。蛋白尿や糖尿病を合併する場合にはRAS阻害薬といわれる降圧剤が第一選択になるということです。(このあたりは私が処方することは滅多にありませんので、詳細はわかりません。)
未治療の高血圧症は腎機能を悪化させ、RAS阻害薬は蛋白尿も減らすそうです。
世界的に見ても日本人の塩分摂取量はかなり多い方であるそうで、1日6g未満に減らす塩分制限がCKD患者にとって最も大切であるそうです。
貧血もCKDで起こる症状で、腎性貧血は腎不全が進行している証拠であるそうで、最初には腎臓専門医への紹介が必要でしょうということでした。
講演後の質疑応答では造影剤腎症の話題も出ていました。循環器領域では頻用される造影剤検査の合併症ですが、高リスクの方は腎障害も循環器障害も合併している場合が多いでしょうからこれは大変難しい問題ですね。
今回、インターネットで調べて初めて知ったのですが、日本慢性腎臓病対策協議会がCKD啓発動画研究会を作って色々なCKD啓発のための動画をYou Tubeに公開しています。なかなかユニークな動画が多いのですが、「Bang Bang CKD (CKDをやっつけろ!)」は振り付け・ダンス付きの乗りのいい動画です。「あなたもCKD?~くちびる編」はくちびるのアップでC,K,Dと訴えかける動画でかなりインパクトが強いです。
これは大変面白い試みですね!
まだまだ認知度不足のロコモも参考になるのでは?と思いました。
柴田トヨさんの「百歳」を読みました。
「くじけないで」に続く第二弾の詩集です。
ご家族、特に息子さんに対する愛にあふれた詩が多いですが、埼玉県警察「振り込め詐欺防止ポスター」に寄せて、や東日本大震災の被災者の皆様に、など社会的影響も強いと思われる詩もたくさんあります。
百歳の今だからこそ皆様に伝えたい、「ありがとう」と心から伝えたい、と今までの人生を振り返っておられる柴田トヨさんはあとがきの最後でもこの様に締めくくっておられます。
元気に百歳を迎えられ、こうして二冊目の詩集が発行されたことは、すべて皆様のおかげです。ありがとうございました。
感謝の心にあふれた詩集ですね。
先日、第30回奈良県骨・関節研究会が開催され特別講演として東京医科大学整形外科准教授高瀬勝己先生の「肩鎖関節周辺損傷における新しい知見と今後の展望」という講演を聴きました。
肩鎖関節周辺損傷は肩外側を打撲して受傷することが多く、鎖骨外側端骨折、肩鎖関節脱臼などが代表的です。
高瀬勝己先生は関節鏡を用いた手術を行い、入院期間を短縮し早期の社会復帰およびスポーツ復帰を目指しておられますが、鎖骨外側端骨折に対しても鏡視下円錐靱帯再建術施行していると紹介して頂きました。
またもう一つの代表的な外傷である肩鎖関節脱臼はRockwood分類という分類があり、大雑把に言ってType 1が肩鎖関節捻挫、Type 2が肩鎖関節亜脱臼、Type 3が肩鎖関節脱臼、Type 4,5,6がより重度の肩鎖関節脱臼となります。
高瀬勝己先生は解剖学的研究とMRI検査による詳細な検討によりType 2においては、菱形靱帯は損傷されているものの円錐靱帯は温存されている場合が多いことを明確に示して下さいました。
肩鎖関節脱臼の治療はType 1,2は保存治療(手術をしない治療)、Type 4,5,6は手術治療が勧められます。Type 3に関しては治療方針について、保存治療か手術治療か意見が分かれるようです。これは両者でその結果に有意差を認めないからの様ですが、それぞれのメリット、デメリットを考えて症例に応じた治療方針の選択になるものと思われます。
高瀬勝己先生は手術治療を選択した場合の注意点として、菱形靱帯と円錐靱帯など個々の靭帯を解剖学的に再建する必要性を指摘しておられました。また40歳以上の症例では、受傷機転が類似するために腱板損傷の合併が多く、同時に治療する必要性を指摘しておられました。
ヒトが運動を行うためには、丈夫な身体とエネルギーが必要です。ヒトは、食事により体外から糖質や脂質、タンパク質といった栄養素を取り入れます。これらを消化吸収し、あらゆる代謝過程を経ることで、筋肉など身体を構成する全てのものを丈夫にし、また、運動に必要なエネルギーも得ています。
通常では、主に血中のブドウ糖をエネルギーとして使用し運動しています。低血糖時は、血中のブドウ糖が減少しているため、肝臓に貯蔵されたグリコーゲンを分解してブドウ糖とし使用しています。食事をとらない状態が続き、肝臓のグリコーゲンが枯渇すると、筋肉中にあるタンパク質などを分解し、アミノ酸からブドウ糖を産生しエネルギーを供給するようになります。
このように栄養が不足している人が過度に運動を行うと、一日のエネルギー消費量が増加し、筋肉の分解を進めてしまいます。つまり、栄養が不足しているときに筋力向上のためのリハビリを行っても、効果が薄れてしまうということになります。リハビリと栄養管理どちらが欠けても日常生活の向上に繋がらないので、しっかりとバランスのとれた食事をとって運動することを心掛けていきましょう。
リハビリテーション科 服部 司