筋には起始と停止があり、関節を跨ぐように付着しています。
筋の付着している骨の部分では腱という組織になり、固定性を高めると同時に機能が発揮しやすくなっています。筋が収縮する場合、基本的には(一部の筋では逆も有り)停止部から起始部へ直線的に収縮し作用します。筋は収縮することにより筋実質が縮んだり、伸びたりしますが、腱は変化することなく滑走をします。
理学療法を実施する上で、押さえて痛いのか?伸ばして痛いのか?を診ることにより筋が短縮しているのか、腱の部分で癒着しているのかを評価します。
筋の起始・停止部から筋全体を把握し触診する能力が理学療法では重要です。
リハビリテーション室長 見田忠幸
宮田重樹先生の「朝夕15分 死ぬまで寝たきりにならない体をつくる!実技編」を読みました。前作の「朝夕15分 死ぬまで寝たきりにならない体をつくる!」の続編で、実技編です。
宮田先生は日常生活動作をスムーズに行うことを指導し、家族と介護する人の負担を軽減することを目的とした社団法人介護予防ネットワーク協会を平成23年に立ち上げておられます。
本書では具体的なトレーニング方法を豊富なカラー写真で紹介しています。
皆様、是非ご覧下さい。
昨日の産経新聞夕刊に認知症高齢者増加の記事が載っていました。
記事によりますと、認知症の高齢者が今年の時点で300万人を超え、平成14年時点の149万人から10年間で2倍に増加しているそうです。65歳以上の10人に1人が認知症を患っている計算になるそうです。
これは政府の過去の推計を大幅に上回る計算になるそうで、厚労省の分析によると急速な高齢化と高齢者人口の予想以上の増加に加えて認知症に対する理解が進み認知症と診断される高齢者も増加してきたためということです。
しかしながら平成14年段階のデータを基にした推計では平成22年に208万人、平成27年に250万人と予想していたそうですから、これは違いすぎるのではないでしょうか。
少し見込みが甘いような気がしますね。
昨日、名賀医師会主催の講演会があり「認知症の診断と抗アルツハイマー病薬」という講演を聴きました。講師は菰野厚生病院神経内科部長鈴木日子先生でした。
超高齢化社会の到来により、日本では特に認知症の問題は避けて通れないですね。身近な人が認知症になったときに、誰しもその対応を迫られます。皆が人ごとではない喫緊の課題でしょう。
認知症の中で最も多いのはアルツハイマー型認知症で、その特徴は初期には物忘れです。特に「近時記憶」といい、数分前、数時間前の出来事をすぐに忘れるようです。次に日付や曜日などがわからなくなる見当識障害が出現します。さらに進行すると、人格障害、失語、嚥下障害、歩行障害などを生じます。最も進みますと、寝たきりや死亡に至ることも多いらしく、平均すると発症後15年くらいで以上の経過を辿ってしまうことが多いそうです。最後は死亡へと至ってしまうことは驚きですね。アルツハイマー型認知症は緩やかに進んでいくのが特徴ですので、早期発見、早期治療に務めたいですね。アルツハイマー型認知症の治療は薬による治療と薬以外の治療があります。最近、新薬の研究がめざましいので、これからに期待したいところですね。医療機関や介護サービスを積極的にうまく利用することが、続けられる介護には重要なようです。また鈴木先生によると認知症には脳血管障害の合併に注意が必要ということでした。
鈴木先生が診察する立場としてアルツハイマー型認知症の患者さんに特徴的に見られるポイントを2つ教えて下さいました。1つは「取りつくろい反応」で患者さんが認知機能の低下を無意識に隠そうと、もっともらしい理由をつけて回答を拒んだりする反応だそうです。もう1つは「振り返り現象」といって、患者さんが質問されると、すぐに振り返って身内に答えを尋ねる現象だそうです。大変参考になりますね。
痛みの病態を捉えるうえで大切な所見に、圧痛所見があります。
圧痛(あっつう)とは、圧迫したときに感じる痛みのことです。痛みのある部位を押さえて圧迫を加えたとき、さらに痛みが強くなる場合は、圧が高まることで痛みが強くなる病態があるということになります。この場合、圧が高くなっている状態を改善していくことが治療の方針となります。
圧痛が生じる原因は様々ですが、損傷して炎症を起こしている組織や過剰な負担が加わって過緊張している組織は圧痛を認めることがほとんどです。
組織に炎症が起こっているのか、過緊張が起こっているのか、あるいは他の病態があるのかは更なる評価が必要です。しかし、圧痛所見を取ることはトラブルを生じている組織とその病態を絞り込むことができ、痛みを改善していくための重要な指標となります。
リハビリテーション科 奥山智啓