健常人でも前腕回内位(手の甲が正面を向いた状態)で外転挙上を行うと、大結節が肩峰下で引っ掛かり(インピンジメント)外転挙上が出来ません。逆に前腕回外位(手のひらが上を向いた状態)で外転挙上を行うと肩峰下を大結節が通り抜け、180°挙上肢位を保持することが出来ます。
肩に疾患がある患者さんの場合、前腕回外位で外転挙上を行っても、肩峰に大結節が引っ掛かり挙上困難になることが多く見られます。なぜならば、肩甲上腕関節内の軟部組織に癒着・短縮が起き正常な運動軌跡(normal tracking)を保てず、大結節が肩峰下を通り抜けることができないからです。
理学療法士は正常な機能を獲得するために、変性した軟部組織に対し評価・治療を行います。
リハビリテーション室長 見田忠幸
膝を屈伸する時などに、関節が「ポキッ」と鳴る現象をみなさん一度は経験があると思います。この音の原因はいくつか説がありますが、「関節の中を液体が移動する時に気泡が破裂する音」という説が一般的です。
関節はスムースに動くために液体に包まれ、液体が潤滑油のような役割をして関節運動に合わせて滑らかに移動しています。しかし、急に動かしたときや、軟部組織の硬さや筋力のバランスが悪くて関節が正しい運動軌跡から逸脱して動いたりすると、関節内に加わる圧がアンバランスになり、潤滑油が急激に移動する現象が起こります。この時に発生する気泡の破裂音が「ポキッ」と鳴る音の正体と考えられます。
関節の音が鳴ること自体はそれほど気にする必要はないと思われますが、痛みや違和感なども伴うようであれば、変形性膝関節症や半月板損傷などの可能性も考えられますので注意が必要です。
リハビリテーション科 奥山智啓
足首の内くるぶしの少し下にもう一つの骨の出っ張りを認める場合は外脛骨である可能性が高いでしょう。
過剰骨と呼ばれる余分な骨なのですが約15%の人に存在すると言われており、症状のない場合もかなり多いです。スポーツなどで痛みが出る場合があり、押さえると痛む場合もあります。小学校高学年から中学生頃に痛みが出る場合が多いですが、高校生頃にはあまり痛まなくなることもあります。
隆起部の圧迫を避ける、クッションパッドを用いるなどの靴の工夫が最も大事です。扁平足を伴っている場合には足底挿板による装具療法も有効です。症状の強い場合には手術を行う場合もあります。
運動器とはからだを動かす器官のことで、骨、関節、筋肉、じん帯、腱(けん)、神経などが含まれます。
運動器の障害を防ぐために、その啓蒙の目的でWHOが2000年から2010年を「運動器の10年」と定めました。本書はそれを受けて発足した「運動器の10年」日本委員会が作成した小学校高学年向けのマンガです。
大人が読んでも十分おもしろいですよ。
クリニックの本棚に置いています。