2011 年 5 月 のアーカイブ

慢性疼痛

2011年05月22日(日) 院長ブログ

先日、三重大学麻酔科丸山教授の慢性疼痛に関する講演を聴く機会がありました。

痛みは整形外科に訪れる患者さんの、おそらく最も多い主訴であり慢性疼痛で悩んでおられる方は非常に多いと思います。またわれわれもその治療に難渋することが多いことも事実です。急に起こる疼痛には色々対処を講じるわけですが、その後に慢性に陥ってしまうということが大きな問題ですね。

痛みとは何でしょう?

丸山教授によれば、不愉快な避けたい嫌な知覚的感情的経験で、愛や空腹が計れないのと同様に量的に計ることはできない、ということです。また痛みは防御反応であり警告のサインでもあるので、無くてはならないものだということです。

また痛みは電気信号であり、末梢での痛みの受容器から末梢神経、脊髄神経を介して大脳に伝えられる仕組みを解説して頂きました。

末梢での痛みの受容器が活性化することによって起こる疼痛を侵害受容性疼痛と言い、体性感覚系に対する損傷などを神経傷害性疼痛と言います。慢性腰痛には神経傷害性疼痛患者が想像以上にいることが示されました。

今までの痛み止めが主に末梢での痛みの受容器に対する効果を発揮していましたが、脊髄や大脳への働きかけ、あるいは脳幹からの下行抑制系で効果を発揮する薬剤などの組み合わせで難治性の痛みに対して有効に治療できる可能性が示唆されました。

痛みの感受性が亢進すると弱い痛みを強い痛みと感じたり、痛みではない刺激を痛みと感じたりする異痛症と呼ばれる状態になるそうです。また繰り返す痛刺激があると、痛みの程度が増強するそうです。

痛みって本当に複雑ですね。

理学療法用治療電動ベッドを導入しました。

2011年05月09日(月) 新着情報

本日、理学療法用の治療電動ベッドがリハビリ室に搬入されました。

それに伴いまして、リハビリ室内治療機械の配置が変更となりました。

以前とは少し違ったレイアウトとなっており、以前からご利用されておられます皆様方には少し戸惑いも感じられるかもしれません。

申し訳ございませんが、よろしくお願い致します。

玉井進先生「名誉の外科殿堂入り」

2011年05月08日(日) 院長ブログ

われわれの大先輩である玉井進先生が国際外科学会日本部会におきまして「日本外科殿堂」に選ばれました。整形外科学会からは日本で3人目ということで、大変に名誉なことであります。本日、祝賀会が催されまして私も出席致しました。

玉井進先生は私の所属する奈良医大整形外科の前々主任教授で、私が大学で勤務しておりましたときに大変お世話になりました。玉井進先生は現在も奈良西部病院で奈良手の外科研究所を設立し、現役でご活躍なされておられます。このような立派な世界的業績をお持ちの玉井先生の元で一時期でも働かせて頂いたことを、大変嬉しくまた名誉なことと思っております。

玉井進先生、本当におめでとうございます。

関節リウマチってどんな病気ですか?

2011年05月05日(木) QAリウマチ科

関節の腫れや痛みの症状を起こす病気です。原因はまだ完全には分かっていませんが、自己免疫疾患のひとつと考えられています。

最も起きやすいのが手首や手の指、足の指の関節などで左右対称に起こることも多いです。手の指の朝のこわばりも関節リウマチに特徴的な所見です。

関節リウマチでは関節の中にある滑膜が炎症を起こし、軟骨や靱帯、骨を破壊してしまいます。

関節リウマチでも関節の病変の進むスピードは個人差があり、一部には発症後にある程度落ち着いた状態になる方もおられますが、全体的には経時的に進行する方が多いです。

現在日本には約70万人の関節リウマチの患者さんがおられますが、女性の患者さんが男性の5~6倍と多いです。関節リウマチの発症のピークは30~40歳代です。

心を整える。

2011年05月05日(木) 院長ブログ

サッカー日本代表主将、長谷部誠選手の「心を整える。」を読みました。

以前からメディアを通して見る長谷部選手の発言には注目していました。気遣いや思いやり、そして主将としての求心力を感じていました。

本書では長谷部選手の価値観や信条、信念などが「勝利をたぐり寄せるための56の習慣」ということで綴られています。各章で私の印象に残った項目を挙げていきますね。

第1章          「心を整える。」意識して心を鎮める時間を作る。どんなに葛藤を抱えても、平常心を取り戻すための習慣だそうです。稲森和夫さんの言葉を参考にしているそうです。

第2章          「吸収する。」いつもじいちゃんと一緒。家族との絆を心の糧と力にしている様子を紹介しています。

第3章    「絆を深める。」仲間の価値観に飛び込んでみる。ドイツでの苦労と課題を踏まえて、文化や背景が違う国を越えて信頼関係を築く困難さを語っています。

第4章    「信頼を得る。」監督の言葉にしない意図・行間を読む。各国代表クラスの選手とのポジション争いでしのぎを削る中で得た経験だそうです。

第5章    「脳に刻む。」読書は自分の考えを進化させてくれる。プロスポーツ選手がこれだけしっかりと読書をしていることには、失礼ながら驚きました。デール・カーネギー、松下幸之助、斉藤茂太、勝間和代など私の愛読書も多く読まれているのは、とても嬉しかったです。

第6章    「時間を支配する。」夜の時間をマネージメントする。音楽の力を活用する。長谷部選手のリラクゼーション、リフレッシュの方法を紹介しています。

第7章    「想像する。」常に最悪を想定する。何が起きてもそれを受け止める覚悟があるという決心を固めるという信念から見せた、ワールドカップ敗退直後の行動はとても立派だと思います。

第8章    「脱皮する。」迷ったときこそ、難しい道を選ぶ。これこそ今の長谷部選手を長谷部選手たらしめる原点でしょう。

第9章    「誠を意識する。」笑顔の連鎖を巻き起こす。長谷部選手のモチベーションの元を紹介しています。

本書で長谷部選手のプロスポーツ選手という枠組みを超えた魅力を知ることができました。

ラグビー日本代表だけでなく、サッカー日本代表も注目し、応援していきたいと思っています。