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リハビリ通信 No.185 術後回復強化プログラム(ERAS)について

2016年01月31日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

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手術前後の絶食を減らし早期退院につなげる術後回復強化プログラムERAS(Enhanced Recovery After Surgery)が医療費削減につながるとして欧米で普及し日本の医療機関でも導入されつつあります。

大きな手術では手術の前日から絶食し術後はベッドで点滴をして、食事開始は4~5日後となっています。術前の絶食は全身麻酔時に嘔吐を起こして肺炎、窒息を防ぐためであり、術後の絶食は縫合不全などの合併症を防ぐためです。しかし、ERAS(イーラス)では手術の6時間前までは食事をとり、2~3時間前まではスポーツドリンクを飲むことが許可されています。術後は翌日からスープ食、5分粥を食し、歩行訓練・筋力向上訓練などの運動療法が始まります。

近年の研究で手術前後の絶食は消化管の機能回復を遅らせる事と安静期間の長期化が筋力低下を招く事が周知され、その結果退院日数の延長になり患者さんにも大きな負担がかかっていました。1990年代に北欧でERASは始まり、その後、各国に広がりました。英国、オランダ、スペインは医療費削減の国家戦略として実施をしています。

リハビリテーション室長 見田忠幸