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テニス肘

2013年12月18日

Doctor

上腕骨外側上顆炎は中年以降のテニス愛好家に生じやすいのでテニス肘と呼ばれています。テニス肘では肘を伸ばして物を持ち上げたり雑巾を絞る動作などで肘の外側から前腕にかけて痛みが出ますが、安静時痛はありません。

テニス肘に関する文献を紹介したいと思います。

 

「Lateral epicondylitis, a review of pathology and management」

 

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)で最も影響を受ける筋肉は短橈側手根伸筋と言われています。一般的にはテニスに関係することが多いですが、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)は様々な動作、過度の繰り返す前腕伸筋の使用、例えばタイピング、ピアノ、様々な手作業などでも起こり、スポーツと職業にも関連することが多いです。

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)は以前には腱の炎症から起こる腱炎であると考えられていましたが、現在では腱の変性過程による腱炎であると考えられています。腱は筋に比べて血流が乏しいという特徴があります。腱の耐用性を超えた張力がかかると微小断裂が起こり、微小断裂が多数起こると腱炎となります。変性が腱炎の主要な原因でありますが、逆に負荷がかからなさすぎても構造的弱点となり損傷されやすくなります。

臨床的特徴として圧痛は典型的には短橈側手根伸筋腱の付着部で、外上顆の前縁の前方にあります。

レントゲン検査は骨病変、遊離体、変形性関節症、離断性骨軟骨炎等を除外するために有用です。エコー検査は腱の肥厚や菲薄化など構造的変化を同定するのに有用です。MRI検査は変性組織の存在と腱や下方関節包の断裂が観察できますが、MRIの陽性所見は患者の症状とはあまり関連しておらず、関節鏡検査を用いた研究で関節包の断裂の同定には造影CT(85%)の方がMRI(64.5%)より敏感でした。筋電図検査は後骨間神経絞扼性障害の除外診断に有用です。

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)治療の目的は(1)疼痛のコントロール、(2)運動の維持、(3)握力の改善、(4)正常機能の回復、(5)組織学的、臨床的悪化のコントロールです。

保存治療として安静、症状を悪化させる行動を避ける、行動の工夫がたいてい症状の軽減に繋がります。52週間の保存治療でステロイド局注と比べてもほんのわずかに劣る結果であったという報告があります。

理学療法では可動域の維持と伸張筋力訓練に焦点を当てた理学療法の有用性が報告されており、6週間で保存治療より良好な結果が報告されています。

テニス肘バンドは有効であるという報告もありますが明らかではありません。手関節装具も有効であるという報告があります。

抗炎症薬投与は短期間機能を改善します。ステロイド局注はよく行われますが、4週間ではステロイド局注はNSAIDsより優っていましたが、長期では差がありませんでした。ステロイド局注は副作用の問題があります。

手術治療は保存治療に反応しない症例に施行され、直視下手術、経皮的手術、鏡視下手術があります。手術治療は多くの患者で良好な結果を得ていますが、関連するリスク、感染、血腫、神経損傷などの問題から他の治療方法の探求が求められています。

新しい治療として経皮的高周波温熱療法、体外衝撃波治療、低出力レーザー照射治療、鍼治療、ボトックス治療、局所ニトログリセリン、自己血注射、多血小板血漿などが報告されています。

(結論)

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)は10から18ヶ月の自然経過でたいてい自然に治癒します。たいていの症例では症状は最終的に収まり、運動制限、理学療法、保存治療などでコントロールされます。

多くの保存治療が報告されていますが、十分に成功すると推奨されるものはありません。手術治療は保存治療無効例に施行されますが、普遍的に成功するものはありません。様々な新しい治療が開発されつつあります。

 

Ahmad Z, Siddiqui N, Malik SS, et al. Lateral epicondylitis: a review of pathology and management. J Bone Joint 2013;95-B:1158-1164.