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リハビリ通信 No.64 筋収縮の重要性

2013年03月30日(土) QAリハビリテーション科1新着情報

今回は自動運動の効果についてお話しさせていただきます。前回、関節の動きには自動運動と他動運動があるというお話しをさせていただきましたが、自動運動では筋が収縮するという大きなメリットがあります。

筋収縮の効果としては、発熱作用による血液循環の改善や筋の柔軟性の向上、筋ポンプ作用による筋内の発痛物質の排泄や浮腫の軽減、生理学的な作用による筋緊張の抑制や筋の合成・再生など様々な要素が挙げられます。また、筋によっては関節包の引き込み作用による関節の挟み込みの防止を行い、関節運動をスムースにしています。

一方で、例えば筋挫傷など外傷後の炎症期や修復期は、筋収縮が組織の炎症を助長したり、修復を阻害する可能性があります。そのため、損傷組織の状態に合わせて、筋収縮を適応する時期と程度には注意が必要となります。また、軟部組織の状態に応じて他動運動を行っていくことも重要です。ただし、修復過程に生じる組織間の癒着を防ぐためには、やはり筋収縮による滑走が必要不可欠となります。

つまり、運動器疾患において関節のスムースな動きを維持・改善し、動作として十分に機能させていくためには、組織の状態と時期に合わせて、筋収縮による効果を発揮していくことが重要となります。

リハビリテーション科  奥山智啓