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リハビリ通信 No.60 関節可動域訓練について

2013年02月21日(木) QAリハビリテーション科1新着情報

関節が動く範囲を維持または拡大する訓練を関節可動域訓練といいます。

例えば、膝を曲げる方向に可動域を拡大したい場合、膝を無理やり曲げたり、痛みを我慢して押し込んだりしても、膝は綺麗に曲がるようになるわけではありません。

関節にはそれぞれその人が本来持っている運動軌跡があります。痛みが生じているということは、その人が本来持っている運動軌跡から逸脱していたり、組織に何らかの負担がかかり炎症を起こしている可能性が考えられます。そのため、無理な関節運動は痛みや筋の緊張を助長して、余計に関節の可動域を制限してしまうことがあります。また、硬い組織と柔らかい組織のバランスが悪い状態で無理に組織を伸ばそうとすると、柔らかい組織ばかりが伸びてしまい、関節が不安定な状態になる可能性があります。そのため、無理なストレッチングには注意が必要です。

関節の運動軌跡は、関節の形態や軟部組織の状態、普段の動作での使い方などが影響して、その人なりの軌跡ができあがっていきます。つまり、片側に外傷や障害、変形がある場合には、良い側の関節の動きが一番のお手本になります。また、両側に何らかの問題がある場合でも、基本的には痛みが出ないこと、関節が硬い状態で無理に動かさないことが綺麗な運動軌跡を引き出していくために重要となります。

関節可動域訓練では、軟部組織の硬いところや短くなっているところ、周りの組織と引っ付いているところなどを改善し、組織の柔軟性のバランスを整えることが重要となります。また、痛みや安静固定などにより関節が不動の状態となるような場合では、関節の拘縮ができる限り起こらないように予防を行うことが重要です。そして、関節の周りにある軟部組織が柔らかくなった分、痛みのない範囲で可動域を拡げていくことで、その人なりの正常な運動軌跡を引き出すことを目指していきます。

リハビリテーション科 奥山智啓