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リハビリ通信 No.48 ギプス固定と注意点

2012年11月22日(木) QAリハビリテーション科1新着情報

骨折などの外傷後にギプス固定となった場合は、循環障害や機能障害を防ぐために、なるべく患部を心臓より高い位置に保持すること、周囲の関節や筋肉を積極的に動かすことが重要となります。

例えば、手首の骨折(橈骨遠位端骨折)をしてギプス固定となった場合、手を心臓より低い位置にしていると腫れが溜まりやすく、ギプスでの圧迫などにより循環障害を起こしてしまう可能性があります。そのため、寝ている時も起きている時も、手を心臓よりも高い位置に保持することで血液やリンパ液が心臓へ戻りやすくなるように注意します。

そのうえで、ギプスから出ている指の関節を動かせる範囲いっぱいまでしっかりと動かして筋肉を収縮させることで、血行を良くし、関節が固まること(拘縮)や筋力低下をできる限り予防します。特に、指の付け根の関節(MP関節)を十分に動かすことがポイントとなります。

また、骨折部の固定性が良好で、医師の許可があれば、固定している手関節をギプスの中でギプスに押し当てるようにして軽く動かすこと(ギプス内等尺性収縮)や手関節の固定に影響のない部位(前腕など)をギプス開窓して、開窓部から筋肉などを徒手的に動かして柔軟性の維持を図ることも効果的です。

ギプス固定中は、折れた骨を治すだけでなく、できる限り患部周辺の機能を維持することがその後の日常生活をより快適に過ごすために重要となります。

リハビリテーション科 奥山智啓