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リハビリ通信 No.22 膝前面痛の原因-膝内側支持組織の柔軟性低下-

2012年04月19日(木) QAリハビリテーション科1新着情報

 

 

膝関節の内側を支持する軟部組織の柔軟性低下もまた膝痛を引き起こす原因の一つとなります。

腱や靭帯が骨に停止するところでは、筋肉のはたらきによる機械的な負荷が集中しやすく、組織の小さな損傷を生じて炎症を起こしやすくなります。膝の内側では、代表的なものに鵞足炎(がそくえん)があります。鵞足とは脛骨の近位内側部(膝関節の裂隙よりも少し下)にある縫工筋や薄筋、半腱様筋などの腱が付着している部位であり、付着している腱が鵞鳥(がちょう)の足のような形をしていることからこのように呼ばれています。この鵞足部に過剰な負荷や摩擦が加わって炎症を生じているものを鵞足炎といい、膝関節内側の隙間よりも少し下の部位での疼痛が特徴です。

鵞足炎の原因として、機能面においては鵞足を構成する筋の柔軟性低下が大きく影響しており、その他に筋力低下、筋力のアンバランス、骨の成長と筋の伸びとのアンバランス、大腿の過内旋や下腿の過外旋などのアライメント不良などが挙げられます。また、動作面や環境面の問題としては、長距離を走る・ジャンプする・ボールを蹴るなどの動作において膝が内側を向き足先が外側を向く運動を繰り返すこと、膝の使い過ぎ(オーバーユース)、不適切な靴、硬過ぎたり軟らか過ぎる練習場などが炎症の引き金となります。

治療としては、まず安静や薬・注射などにより急性炎症を落ち着かせた後、原因筋のリラクセーションやストレッチングにより腱付着部への負担を減らしていくことが重要となります。場合によっては、インソール(靴の中敷)が有効となることもあります。

リハビリテーション科 奥山智啓