先日、伊賀・名賀合同臨床集談会が開催されました。 臨床病理検討会は名張市立病院研修医前澤彬人先生が「心アミロイドーシスの一例」を報告され、三重大学医学部付属病院病理部助教林昭伸先生が病理解剖所見に関する詳細な解説をして下さいました。大変参考になりました。ありがとうございました。 特別講演は「帯状疱疹のマネジメント~疼痛管理を含めて~」で講師は三重大学大学院医学系研究科皮膚科学准教授波部幸司先生でした。 整形外科を受診される腰痛などの症状を訴えておられる患者様にも、時にはひょっとしたら帯状疱疹なのかな、と考えることもあります。初診時に発疹や水疱ができていれば、「これは皮膚科受診して下さいね。」となりますが、帯状疱疹は神経痛のような症状発現から遅れて紅斑、水疱、痂皮といった皮膚症状が出現するので、初期には判別しにくいことがよくあります。波部幸司先生は帯状疱疹の疫学、診断、治療、様々な帯状疱疹について、ワクチン、疼痛管理などについて詳しい解説して下さいました。 波部幸司先生によりますと日本人は80歳までに、約3人に1人は帯状疱疹になると言われているそうです。帯状疱疹の皮膚症状が治った後も、約2割の人に長期間痛みが残ってしまう可能性があり、帯状疱疹後神経痛というそうです。波部幸司先生によりますと、帯状疱疹の治療目的は皮疹拡大の阻止、合併症の阻止、知覚神経障害軽減、ウイルス拡散防止などであるそうです。抗ウイルス薬による治療では、できるだけ早期に治療開始することが重要で、効果発現まで2~3日はかかること、内服は途中でやめずに7日間服用すること、用法用量を厳守することなどが重要であるそうです。皮膚症状が重症な場合、汎発性皮疹を伴う場合、免疫力低下、激烈な疼痛を伴う場合、合併症が見られた場合などは入院治療を要することがあるということでした。 波部幸司先生によりますと、顔面帯状疱疹で鼻の上に発疹を認める場合に結膜炎、角膜炎などの眼症状を伴う場合が多く、三叉神経第1枝領域であるためでハッチンソン徴候というそうです。頬部、下顎から肩にかけての帯状疱疹では顔面神経麻痺、味覚障害、内耳障害などを伴うことがあり、ラムゼイハント症候群というそうです。脊髄にまで炎症がおよぶと運動麻痺が起こり、帯状疱疹後脊髄炎というそうです。仙骨部の帯状疱疹では膀胱直腸障害を起こすこともあるそうです。 波部幸司先生によりますと、帯状疱疹の疼痛管理は薬物療法が中心になりますが難治例が多いということで、早期発見、早期治療が最も重要であるということでした。 波部幸司先生は専門外の私にも、大変わかりやすく解説して下さいました。本当にありがとうございました。 |