先日、名賀医師会におきまして介護保険主治医意見書研修会が開催されました。講演は「特養での生活~笑顔あふれる生活の実現~」で講師は社会福祉法人弘仁会特別養護老人ホーム国津園施設長布川高宏氏でした。 布川高宏氏によりますと社会医療法人弘仁会の法人理念は高齢者福祉においては「私が暮らしたい施設を作ると共に、私が使いたいサービスを提供すること」で、児童福祉においては「子どもたちの伸び行く可能性と、笑顔にあふれる未来のためにサポートする。」ということで、「全ての人が笑顔になれるように…」ということでした。社会福祉法人弘仁会は1989年に設立され、1990年に特別養護老人ホーム国津園を事業開始したそうですが、現在では3カ所の保育園も手がけているそうです。特別養護老人ホーム国津園は住宅地の近くですが、豊かな自然と美しい四季を感じられるロケーションであるそうです。 布川高宏氏によりますと、特別養護老人ホームは社会福祉法人や自治体が運営する「公的施設」であり、有料老人ホームは民間企業が運営する「民間施設」であるということでした。特別養護老人ホームは重介護者の保護に重きが置かれているために、65歳以上で原則的に要介護度が3~5であることが入所条件となっているそうです。一方、有料老人ホームの場合、施設により入居条件は異なるそうです。特別養護老人ホームは入居者の費用負担が安いことが最大の魅力で、有料老人ホームでは入居一時金は不要のところから数千万円かかるところもあり、施設によって様々であるそうです。 特別養護老人ホームの重点化ということで、平成27年4月から、原則、特別養護老人ホームへの新規入所者を要介護3以上の高齢者に限定し、在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設としての機能に重点化したそうです。他方で、要介護1,2の方についても、やむを得ない事情により、居宅での生活が困難であると認められる場合には市町村の適切な関与の下、特例的に入所することが可能であるそうです。布川高宏氏は平成29年に医療と介護の連携に関する意見交換における主なご意見として、特別養護老人ホームの配置医は、健康管理と療養上の指導だけではなく、看取りや急変の対応について本人や家族、職員と話をすることも求められてきているが、改めて配置医の役割や処遇を見直して、これから看取りが求められる時代にふさわしいあり方にしていく必要があるという意見があったことを紹介されました。身体的拘束等の適正化の推進も図られているそうです。特別養護老人ホームの入所基準は、入所順位決定基準があり、本人の状況(要介護度)、介護の必要性、家族等介護者の状況を点数化し、点数が高くなると優先度が上がり、入所検討委員会があるそうです。 特別養護老人ホーム国津園では理念とミッションを実現するために様々な試みがなされているようです。桜祭り、家族のつどい、納涼盆踊り大会、敬老祝賀会、居酒屋くにつ、外出行事(ピクニック、お買い物)、つつじが丘交流会、余暇活動(クラブ活動、喫茶店)、日常生活におけるリハビリテーションなど行事が目白押しだそうです。サービスの質向上のための委員会として、身体拘束廃止検討委員会、事故発生防止委員会、褥瘡予防委員会、認知症ケア委員会、医療安全委員会、感染症蔓延予防委員会などがあるそうです。サービスの質の向上のための今後の取り組みとして、個別ケアの推進、介護ITCの導入などを挙げられました。介護記録ソフトと入力用タブレットの導入を行い、コミュニケーションを活性化しケアの質の向上を図っているそうです。 理念とミッションの実現に向けて着々と活動しておられる布川高宏氏の行動力に感心いたしました。 |