2019 年 8 月 のアーカイブ

リハビリ通信 No.301 大腿筋膜張筋について

2019年08月15日(木) QAリハビリテーション科1新着情報

当院では、ミーティングの際にスタッフ全員で簡単なストレッチを行っています。そこで今回は、大腿筋膜張筋という筋肉のストレッチについてご紹介させていただきます。

大腿筋膜張筋とは(図1)にある上前腸骨棘という骨盤外側部に位置する骨の突起部から始まり、下行していく際に途中で「腸脛靱帯」という組織を介し、膝関節を越えて下腿の前外側部に位置するGerdy結節というところまで走行しています。したがって、股関節と膝関節をまたぐように走行しているため、この筋肉の伸張性が低下してしまうと股関節と膝関節の両方に影響を及ぼしてしまうこととなります。

例えば、この大腿筋膜張筋が拘縮(固まっている状態)してしまうと、(図2)にあるように股関節の内転(脚が内側に入る動き)が制限されてしまうため、歩行時に必要な股関節の内転が制限され、その結果として腰椎に負担がかかる、正常から逸脱したような歩き方(跛行)などが出現してきます。そのため、この筋肉を右図のようにしっかりストレッチし、柔軟性を維持することが非常に重要となってきます。

リハビリテーション科 小野正博

「医者が考案した長生きみそ汁」

2019年08月15日(木) 院長ブログ

順天堂大学医学部教授小林弘幸先生著の「医者が考案した長生きみそ汁」を読みました。

小林弘幸先生は自律神経研究の第一人者であるだけでなく、順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した”腸のスペシャリスト”でもあり、みそをはじめとした腸内環境を整える食材の紹介などをされているそうです。

白みそ、赤みそ、玉ねぎ、リンゴ酢の組み合わせが最強の「長生きみそ汁」ということで、ガン、糖尿病、動脈硬化を予防し、体の不調がみるみる消えていくということでした。

「長生きみそ汁」アレンジレシピと「長生きみそおかず」レシピは種類豊富で、まるで料理本の様ですね。

レシピを見ているだけでも、楽しそうですね!

Sport Japan vol.44

2019年08月12日(月) 院長ブログ

Sport Japan vol.44の特集はRWC2019開催前にチェック「ラグビー観戦で見える数々の指導のヒント」です。

いよいよ今年9月に開幕するラグビーワールドカップ日本大会2019を控えて、RWC2019アンバサダーである大畑大介氏が「仲間の思いも背負って立つ最高峰の舞台」という巻頭コラムを書いておられます。

帝京大学ラグビー部監督の岩出雅之氏は、フェーズ(連続攻撃の回数)を10回も、20回も重ねる諦めない心の大切さを説きます。

元ラグビー日本代表選手である神戸親和女子大学教育学部教授平尾剛氏は縁の下の力持ちに徹するバイプレーヤーの重要性を紹介しています。神戸製鋼ラグビー部の優勝に貢献した世界的な名選手であるダン・カーター選手(ニュージーランド)は、自身がケガで試合に出られないときは志願してウオーターボーイ(給水係)を務めたそうです。”何かできることはないか”、チームへの帰属意識がそうした思いを抱かせて、献身の思いや敬意、勝利だけがすべてではない、と説きます。

中部学院大学教授鈴木壯氏は試合前の儀式「ウォークライ」の効能について解説しておられます。ラグビーの試合前に行われるウォークライはニュージーランド代表(オールブラックス)がパフォーマンスするハカが有名です。ハカはニュージーランドの原住民マオリの人々の伝統的な踊りで、戦場で敵と対面するときや和平を結ぶ際、一族のプライドを懸けて披露する習わしがあったそうです。鈴木壯先生はこうしたパフォーマンスをすることで気持ち(闘志、士気)をある程度のレベルにまで高めていると推測しています。鈴木壯先生によりますと、気を張りすぎてもよくないということで、緊張状態はずっと続くものではなく、緩めて強めての繰り返して、うまくコントロールしていくことがポイントであるそうです。大きな舞台でのスポーツは非日常的な場所であり、「違う場所へ行く」ための儀式であると解説しておられます。

元NECグリーンロケッツ選手冨澤浩明氏は「ワン・フォア・オール・オール・フォア・ワン」というラグビーで有名な言葉について解説しておられます。これは「一人はみんなのために、みんなは一人のために」と解釈されるが、特に後半部分は「一つの目的のために」というニュアンスがあるということでした。一つの目的を達成するためにどれだけ自分の役割を全うできたか、選手一人一人にそうした思いが強くあると説きます。冨澤浩明氏はワールドラグビーの提唱するラグビーにおける「5つのコアバリュー」である、品位、情熱、結束、規律、尊重を紹介してくれています。

その他にも、読み応えのある記事ばかりでした。

大変、参考になりますね!

待ち時間のお知らせ(8月5日~8月10日)

2019年08月10日(土) 待ち時間のお知らせ1新着情報

「小児がんのトータルケア」

2019年08月10日(土) 院長ブログ

先日開催された伊賀地区学校保健研修会の講演(2)は「小児がんのトータルケア」で講師は三重大学大学院医学系研究科小児科学分野教授平山雅浩先生でした。平山雅浩先生は三重大学小児科における小児がんの診療とトータルケアについて解説して下さいました。

平山雅浩先生によりますと、小児がんの特徴は、比較的稀である、死亡原因の上位である、白血病が最多、約70%長期生存するようになってきた、半年から1年という長期の入院治療を要する、治療に副作用が生じる、晩期合併症がある、学業に支障をきたすことがある、などだそうです。日本では年間約2000人の子どもが小児がんと診断されているそうで、造血器がんでは白血病が最多で、悪性リンパ腫など、固形がんでは脳腫瘍、リンパ腫、神経芽腫、骨腫瘍、軟部腫瘍、肝腫瘍、腎腫瘍、網膜芽細胞腫などが挙げられるそうです。

代表的な疾患である急性リンパ性白血病では、1960年代には生存率が約11%であったのが、2000年代には生存率が約90%に向上しており、薬物療法の進歩によるものであるということでした。小児がんの長期生存率はおしなべて75%くらいにも向上しているそうです。

平山雅浩先生によりますと、これまでの小児がんの治療の課題は、患児の身体的、精神的、経済的負担、そして学業、発達面の問題などであるそうです。そこで更なる、小児がんに対するトータルケアが必要であるということで、三重大学小児科における小児がんトータルケアについて紹介して下さいました。

小児がんの患児が学業での支障をきたし不登校になったりするということで、院内教室と復学支援に取り組んでいるということでした。三重大学小児科にはチャイルドライフスペシャリスト(CLS)という医療環境にある子どもや家族に心理社会的支援を提供する高度な知識を持った専門職がいるそうです。院内学級は小学校、中学校だけで、高校にはないということで、平山雅浩先生によりますと遠隔教育や単位の互換制度などの制度の充実が今後に期待されるということでした。病名告知とチーム医療にも取り組んでおり、病名告知は「真実の説明」が重要でありチャイルドライフスペシャリストの役割が大きいということでした。晩期合併症はあらゆる臓器に起こるということで、長期フォローアップ外来を行っているということでした。緩和ケアと在宅医療にも取り組んでおり、在宅医療の割合は近年とても向上しているということでした。兄弟支援も重要であるということでした。親が患児に係りきりになることで、患児の兄弟は親が不在の状態となり親に甘えられず我慢を強いられて問題が生じるということでした。兄弟の日イベントなどを催して、兄弟支援にも取り組んでいるということでした。

三重大学小児科は50年以上にわたって、小児血液腫瘍の診療・研究を活動の中心に置いているそうです。平成25年2月に三重大学病院は全国15施設の「小児がん拠点病院」に指定されたそうです。三重大学小児科は全国規模の小児白血病治療研究の診断センター、小児がん経験者の長期フォローアップ拠点施設および日本骨髄バンク移植認定施設としての役割を果たしているそうです。

平山雅浩先生は先進的できめ細やかな数々の取り組みなどを、大変わかりやすく解説して下さいました。本当にありがとうございました。